『No Business No Life』お久しぶりです。7回目は、今タイで加熱している“省エネ”についてお話ししたいと思います。コンプレッサメーカー・アネスト岩田 サウスイースト アジア(以下、アネスト岩田)の高田 茂樹(たかだ しげき)さんに来ていただきました。(※対談動画の会話を編集してお届けします)
中村:2021年に入って、タイのお客様から省エネに対する問い合わせが非常に増えています。省エネに消極的だった企業から、省エネのツール・省エネのアイディア・省エネのための予算申請といったお話をいただいています。これには何か原因があるのでしょうか?
高田(敬称略):今までは企業の自助努力でエネルギーを削減して環境に貢献していくという考え方でしたが、それだけではなく、もっと大きな流れが今年から強くなっていると考えています。
代表的なのはカーボンニュートラル※1だと考えています。尚且つ、EUタクソノミー※2などの、環境を持続的に維持するための投資を評価する指標や規制が出てきています。この流れが世界で強くなることで、今後は株式を公開している企業は、環境問題に取り組まなければ株価に影響がある可能性が出てきました。
中村:企業の省エネ活動というのは、カーボンニュートラルの一部になるということでしょうか?
高田:各企業はまず、現在排出している温室効果ガスの総量を限界ギリギリまで減らす必要があります。どうしても排出せざるをえない分は、排出権取引等でトータルをゼロにする必要があります。今から省エネ等を積極的に推進していかないと、ゼロにするコストが莫大なものになってしまいます。
※1… カーボンニュートラル:温室効果ガスの排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにするという取り組み。
※2…EUタクソノミー:2020年7月にEUにおいて成立したEU規制2020/852の別称。EU域内におけるサスティナブル投資を対象とした規制で、「経済委活動が環境的に持続可能かどうかを判断する基準」の確立を目的としている。
中村:カーボンニュートラルは、大変でも取り組まないといけないというのが、よく分かりました。コンプレッサメーカー・アネスト岩田さんとしては、どういうことに取り組んでいるのでしょうか?
高田:まず、全ての工場の皆様にお勧めしたいのは、コンプレッサの設定圧力を下げる低圧化の実施です。これは費用がゼロで大きな省エネ効果を得ることができます。
中村:コンプレッサの低圧化は、工場内でエアの圧力不足による生産性への影響を懸念して、二の足を踏んでいる企業が多いと思いますが、どうしたらいいでしょう?
高田:まずは、工場の圧力の見える化を確実に実施するのが第一歩です。
私の経験では、一般的な工場で高い圧力が必要なのは、全体の10〜20%程度という認識です。そこには、圧力不足が起きないように専用の増圧機を設置すれば、低圧化しながら生産性を維持できます。
中村:増圧機を設置する時のコツや、費用対効果を最大限にするアイディアはあるのでしょうか?
高田:増圧機には「空気駆動」と「電気駆動」の2タイプがありますが、空気の使用量に合わせて、一番良いタイプを選定することが重要になります。しかし、空気駆動型はエアを消費するので、低圧化の省エネ効果を大きく減少させてしまう可能性があります。
中村:省エネをこれから実施したい方に、参考事例を教えていただけますか?
高田:ある会社で省エネ担当者が、年10万バーツの省エネ効果が見込めると上司に報告しましたが「10万バーツくらいじゃ、大した効果がないだろう」と言われました。しかし、売上に換算すると100万バーツに相当します。「今の時代100万バーツの売上を上げるのは大変です」と上司を説得したそうです。視点を変えることで、色々な省エネのアイディアが生まれてくると思います。
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