前回に続いての全4回シリーズの第2回目として、当社グループをあげて推進している海外リモート進出™。
その本編として、多くの進出企業が一番頭を悩ます「進出時点」のことをメインに取り上げていきます。
はたして、どういったことがリモートで進出すると言えるのか、今回はその要諦について掘り下げていきましょう。
物理的な対象範囲は基本的に当社グループでカバーしているAsean各国がメイン
下記、主に当社グループが、物理的拠点として実際に現地に日本人およびローカルスタッフを置いて会計事務所として展開している拠点となります。
日本からのリモート対応指示等を受け、現地でのポータル機能および実際のサービス提供をするための受け皿として、コアとなる拠点でもあります。
海外進出時の内製対応とリモート(アウトソース)対応の比較—進出時1
ここから本編内容となってきますが、まず下記の図の構成についてご案内します。
まず一番左の1/3に対応項目を列記してあり、下に向かっていく矢印が2本あります。
左側は内製(自社)対応で、右側がリモート対応を示します。
そして右側の2/3が、各項目に対応する内容と発生しうる目に見えるコストを、内製対応した場合とリモート(アウトソーシング)対応した場合に区分して比較できるよう、当社が経験したレンジで示しています。
ここでは内製した場合の内部リソースコストなどはゼロとして外部に払う分(但し、社員に払う給与を含む)のみをコストとして定義しています。
リモート対応を推進するものの、最初の市場調査や事業計画作成部分は、よほどの事業規模や予算感がつかない限り、やはり内製対応で完結するのが筋でしょう。
ここでは完全に外部に丸投げするというよりも、「コロナ禍で移動がままならない」という前提で、本来出張者が現地入りして対応する内容のみうまく外部を使っていきたいところです。
その場合も出張1回あたりの移動費、宿泊代、現地飲食費などを含めて少なくとも1人当たり20万円(図では2名+現地経費を想定した50万円で記載)から発生していたであろう分を、アウトソーシングによってそれ以下で抑えられるということならば、検討の余地が十分あるといえます。
次に進出時の本丸である法人設立ですが、
これについては内製対応というのは通常不可能なため、完全にリモートとしてアウトソーシングする分としています。
そもそもの申請書類や必要なライセンス対応が、現地言語での公式なやりとりが必要であることが理由です。
内部にローカルスタッフが揃っていて内部対応することも不可能ではないと思われるときでも、そのための専門性を持つスタッフを準備するよりは最初から餅は餅屋で対応したほうがトータルコストも抑えられます。
日本でも営業部門に法務部門が対応するような業務をさせないことと同じです。
ましてや対象先が海外ですので言わずもがなでしょう。
しかしながら今回、これ以降紹介するリモート進出の内容の大前提としては、実は法人すら設立しないことです。
駐在員事務所は収益活動ができないのでそれも除きます。
支店という形態でもありません。
そうなると、上記図に示すアウトソーシング分もそもそもほぼ発生しないこととになります。
そんなことが可能なのでしょうか? その続きをこれ以降ご案内していきます。
海外進出時の内製対応とリモート(アウトソース)対応の比較—進出時2
進出時フェーズの続きとして、今度は人材採用時について同じく下記に図示します。
法人設立をしないという衝撃的な提案ですが、その前提で上記図ではリモート対応記載部分を上下2段に分けて、上段を法人設立する場合、下段をしない場合として記載しています。
今回はタイの場合を想定しているため、タイの外国人事業規制法上ローカルスタッフの採用は、法人を設立して運営する場合、日本人が駐在することを前提とすると1人あたり最低4名の採用が必須になります。
タイにおける進出の最初のハードルはまさにこの部分です。
ある程度最初から採算が見込める事業でなければ、ローカルとはいえ4名もの採用となると躊躇してしまうのが現状でしょうし、実際に当社でもこれまで同じようなケースで足踏みする会社を多々見てきてきました。
さて、ここでお気づきでしょうか?
法人を設立せず、ローカルスタッフも本来必要な最小限の数となった場合は、そもそも駐在員を送りこめないのでは?と。
そう、そもそも駐在員すら送る必要がない形で現地進出と同じ効果を得ることがリモート進出の要諦でもあるのです。
法人設立なし、駐在員なしのご提案いかがでしたでしょうか?
それは本当に可能なことなのでしょうか?
次回以降は、いよいよリモート進出によるコスト並びにリソースの最小限化の効果が一番発揮できる運用フェーズのご案内となりますので、引き続きご覧いただければと思います。