「日本人コンサルタント」
【前回迄のあらすじ】~BOI仮認可期間中に発覚した、まさかの工場認
可申請には不適格な住所での登記。更に担当者のビザ・ワークパーミットも間もなく期限が訪れるなか、もはや他社コンサル会社は当てにできず、操業が危ぶまれるこの状況から脱するには...
「とにかく、ビザと新工場への移転、どちらもすぐに動かないといけないので決断をお願いします!」
ビザの滞在期限が残り3週間を切る中では、このように促すのが精一杯であった。バオジャイコンサル社についてはよくよく聞いてみると、本業は居住用賃貸物件仲介とのこと。さすがにBOI申請は依頼しなかったが、会社設立や工場物件、赴任者の賃貸物件紹介など含め、身の回りのタイ生活のご案内など一式を依頼したという。(※1)「場所ですが、ここはいかがですか?」
工場用地のリサーチはさすがに当社でも初めてだったが、ビジネス経験のあるタイ人知人を駆使して、とある場所の工場オーナーと話をつけて進められそうだ。「分かりました。今度、本社社長が来るのでその時に見てもらって判断してもらいます」。
工場引越により時間も費用も追加でかかるものの、川外さんは正直ほっとしていた。というのも、その時の住まいは職住一体のビジネスパーク内の戸建で一人住まいの上、周辺は日本人社会とは無縁の世界。加えて頼りにすればするほど意図的に避けているのではと思われるような、不安な立ち振る舞いが目につく日本人コンサル会社の対応。(※2)
そんな逆風の環境の中、新しい工場も本社社長に即断していただいた上で契約に進み、すぐさま工場認可申請の手続きに入ったことで、ビザ更新の対応も何とか間に合い、紆余曲折がありながらもなんとかミッションを終了することができた。
その後、BOI最終認可状発給申請の方も、ぎりぎりではあったがなんとか間に合った。コムファイ社は立ち上げに思いのほか時間を取られたものの、現在はタイのみならずラオス市場も視野に新たな展開に入っている。
川外さんは当時を述懐し、今でも時々こう言う。あの当時の救いの言葉は、引っ越しましょう!です。
(※1)事前に決めたことをその通りにするのであれば、会社設立や物件探しなどはある意味誰にでもできるのだが、それが必ずしもクライアントオリエンティッドなサービス提供とは言えないだろう。できれば、設立後の配当まで考慮した資本構成に関する留意点や、場合によってはタックスヘイブン税制上の留意点なども助言・サポートできる、能力のある財務系に強いコンサル会社や会計会社がベターと言える。時折VAT登記やスタッフ採用時の社会保険申請対応、その他各種ライセンス関係をまるで考慮しないような会社を設立してしまい、後々問題になったということを聞くことがあるが、これらの質問にその場で答えられるくらいの会社でないと不安は残る。
(※2)中小企業の進出が多くなっている現状で、単身赴任など一人で立ち上げを任されるケースは多い。ビジネスパーク内のオフィス兼住居やタウンハウスと言われるタイ式長屋などの戸建住居などで職住一体として立ち上げるケースもあるが、屋根裏の鼠といった小動物の音が意外と気になる、周辺に屋台街しかない環境であるなど、いきなりローカル度の高い生活から始まることもある。そんな立ち上げ時の心労で少し弱っているときは、住まいの紹介や必要生活家具購入の同行など多少の身の回りのサポートでも嬉しいのだが、中にはそこにつけこみ必要以上に高額な請求をするコンサルタントもいるので注意が必要だ。
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