アフターコロナに差し掛かり、日系企業の海外進出も少しずつ再開しだした昨今、製造業をはじめとする様々な業界から注目を浴びている市場、ベトナム。
今回は、タイで日系企業の進出支援を行うアカウンティングポーターが所属するグループ会社にあたるAAA Consulting Co.,Ltd. CEO今森氏に、ベトナム進出において抑えるべきポイントと、業界の動向について話をきいた。
2社が所属するAAA+グループは、日本の公認会計士・税理士事務所をベースとしたASEANを拠点に日系企業の東南アジア進出をサポートする専門家集団である。
現在、日本・中国(香港)・タイ・ベトナム・シンガポールに各拠点を持ち、ASEAN進出を展望する日系企業へ包括的なサポートサービスを提供している。
但野氏: 2016~17年はチャイナ・プラスワンの影響もあり、日系企業のベトナム進出が活発でした。グループとしてASEAN全体をカバーできるネットワーク構築を目指していたので、ベトナムは重要な市場と位置付けています。今森さんは、私の前職時代の同僚であり、その実力と経験値をよく理解していたので、ベトナム拠点を任せる最適任者でした。
今森氏: 2017年に事務所を開設して以降、市場ニーズの高まりも相まってお客様は着実に増えていました。そんな矢先、2019年末からコロナが流行し、21年にはベトナム国内もロックダウン。
遠隔でのベトナム進出相談もありましたが、コロナ禍中はほとんど案件は動かなかったです。22年以降、アフターコロナに差し掛かり、市場も回復の兆しが見えてきました。
今森氏: 私自身、企業の経営側で活動していた経歴があるので、できるだけ企業側の目線でコンサルティングを行うようにしています。特にベトナムは、起業において注意しなければいけないポイントが多く、進め方を間違えると多くの時間とお金を要してしまいます。
代表的な例が経費精算。ベトナムは経営における経費精算の項目が複雑で監査も厳しく、日本でもベトナムでも落とせないような費用が発生しがちです。日本・ベトナムどちらでも円滑に会計できるよう、日本本社の顧問税理士とも綿密に打合せを重ね、本社とベトナム法人の間の経理的な調整を積極的に行うようにしています。
また、オフィスの不動産契約にも注意が必要です。ベトナムでは法人登記から営業開始までに時間がかかるケースが多く、且つ、法人登記前にオフィスの不動産契約が必要なため、空家賃が経費として発生してしまいます。そういった無駄な費用をできるだけ削減する提案が私たちの強みです。
コンサルティングは会社設立だけが仕事ではないので、お客様との長いお付き合いを見据えて、お客様側の初期投資負担が減るような提案を心掛けています。
ベトナムは他エリアに比べて、会計に関する情報が取得しやすく、競争率も激しい。そんな状況でありながら、顧客に対して積極的に相見積もりをとって比較検討することを推奨しているという。
今森氏:他社と比較していただいた方が、私たちの提案の特質や良さが光ります。企業の大小に関わらず、コンペになるケースは多いですが、成約率はかなり高いです。
しっかりローカライズしているので抑えられる費用を抑え、無駄を省くことを徹底しています。
経営者の目線に立った、かゆいところに手が届くような提案がうけているのではないでしょうか。
但野氏: 今後の展望として、ラオスでの拠点開設を計画しています。ラオスには、日系会計コンサル会社の進出もまだ少ないのでASEANをカバーする、という意味でグループの強みになると思います。また、エリアによってはタイ語も通じるため、“タイ・プラスワン”になるポテンシャルもあると感じています。労働集約的な完全自動化できない業種にとっては人件費の安いエリアは重要であり、需要は期待できるでしょう。
今森氏:コロナ以前以上にベトナム進出の需要は今後伸びていくと感じています。まずは新規顧客を増やしつつも、お客様と中長期的なお付き合いができるよう、各企業のフェーズにあった最適な提案と丁寧なサポートを行ってまいります。1社でも多くの日系企業の海外進出成功に貢献できるよう、グループとしてサポートを続けていきたいです。
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