アジアメンテナンス(AMA)は、「高精度のイーグルブランド製品」二村機器(二村機器株式会社/本社・愛知県名古屋市)の大切なパートナーとして、タイで同社の製品『ローリングセンター』のメンテナンスを行なっています。
二村機器の二村 忠宏(ふたむら ただひろ)代表取締役に、タイにおけるローリングセンターのメンテナンス事業にまつわる話をお聞きしました。
ローリングセンター(回転センター)は、海外では「ライブセンター」という名称が一般的です。そんな中で、海外でも「ローリングセンターは二村機器の商品名」という認識が広がっており、嬉しく思います。
ローリングセンターとは、旋盤工程において加工物を支える「回転保持工具」です。 ワークの振れを防ぎ、安定した加工が可能となります。ローリングセンターを使用することにより、高精度な製品を作ることができます。
ローリングセンターの内部にはベアリングが入っており、ワークを保持する際に接触する部分は摩耗するため、定期的なメンテナンスが必要です。
タイでは、ローリングセンターは消耗品と考えられており、壊れたら捨てられていました。これは大変ショックでした。
一部の工場では、故障したローリングセンターの修理を試みたそうです。
しかし、日本へ修理に出すとしても修理できるかどうか判らず、送っても結局修理不能になると輸送コストが発生するため、断念せざるをえなかったというのが現状でした。
メンテナンスすれば問題なく使うことができるローリングセンターなので、海外でのメンテナンスの拠点が必要でした。
また、海外のお客様から「コスト低減」したいとのご要望があったため、海外需要の一番多いタイにメンテナンス事業の拠点を設けることとなりました。
アジアにおいて「職人技術・日本同等精度・品質」を看板にしているアジアメンテナンスさんと修理委託契約を結んだのは、そういった事情からです。
アジアメンテナンス 山田社長や現地スタッフの熱意・意気込みがとても熱く、日本の二村機器へスタッフを派遣、研修を受けていただきました。その研修が終わるまでに、1年くらいかかりました。
1年かかった大きな要因は、タイ現地での修理テストです。
テーパー研磨(チャックなどの装着部分における接合研磨)については、設備を持っているだけでは加工精度が出せません。当社のスタッフから指導させていただきテストトライを重ね、2019年より二村機器製品の「修理認定工場」としてスタートしました。
初年度は、新規のお客様となる方々への周知から始め、2020年には21台のメンテナンス実績、2021年は昨年を上回る実績になっています。
修理をすることにより、新品のご注文や回転センターの相談、打合せ案件も多くなり、お客様から喜びの声を聞くことができ、「メンテナンス事業をやってよかった」と思っています。
2019年は、METALEXの総来場者数が100,475人と多く、AMAと二村機器の共同ブースには約71の企業様や商社様がご来場していただき、そこで多くの案件をいただきました。
2020年はコロナ禍により、二村機器はタイに行く事ができず、現地対応はアジアメンテナンスが行ない、二村機器は常時リモート対応で実施しました。この時のMETALEXでは、2019年を上回る約200社の企業様にご来場いただきました。
「回転センターの需要は多いが、Made in Japanの製品のメンテナンスができるのか?」とのお問い合わせが多くありましたが、METALEX(2019/2020)の展示ブースにお立ち寄りのお客様に同行して説明したところ、新品の購入や修理の問い合わせ件数が確実に増えています。
今後も二村機器とAMAの両社で協力し合い、修理実績や改善案を増やして行きます。 お客様の「コスト低減」に努め、皆様が喜んでいただけるよう、これからも日々努めて参ります。
タイを初め、ベトナム、インドネシア、マレーシア等には日系企業が多く存在し、二村機器のローリングセンターを多くご使用いただいています。
各国のお客様には、AMAへ修理を出せば「日本同等精度」で修理が可能と認知いただけると、両社がさらに飛躍することは間違いないです。
さらにメンテナンス事業が軌道に乗り、中国やアメリカ、インド等にも同じような拠点を作ることができれば、嬉しい限りです。
協力:二村機器株式会社/Futamura Machines & Tools Co., Ltd.