CAM-TOOLは、“思いのままに、そのままに。自由自在な金型モノづくり”をコンセプトとするCAD/CAM一体型の多機能金型用システムです。
今回は、CAM-TOOLのもつ独自の演算ロジックである「サーフェス演算」により金型製作現場における作業の効率化事例をご紹介したいと思います。
CAM-TOOLには一般的に使用されている“ポリゴン演算方式”と独自開発の「高品質」「高精度」「高硬度材」加工に特化した“サーフェス演算方式”の二つの演算ロジックを搭載しています。
CAM-TOOLの「サーフェス演算」は、受け取ったデータ(IGES等)を近似ポリゴンに変換せずに、曲面形状に工具を接触させる独自の演算ロジックにより、滑らかな加工動作と高精度な面品位を実現します。
下の加工サンプルはその違いが分かる面品位比較サンプルになります。
左側はサーフェス演算にて形状トレランス0.5μとなるようにツールパス作成、右側はエリアを分けてポリゴントレランスを0.5μ・1μ・10μ・30μとなるようにツールパス作成し、工具・加工条件・工具の走行方向、全て同じ条件で加工を行ないました。
面品位を高める事は、磨き作業時間の削減のみならず、中仕上げの段階で仕上げ代を均一にできる事で、次工程の工具に対する断続的な負荷を無くし、工具寿命の向上にも繋がります。
こちらはSodick TS50Lにて加工を行ったTHAI METALEX 2020電極加工サンプルです。
ピン直径は0.5mm、高さは10mm、0°の立壁で非常に加工が難しいとされています。
ポリゴンに変換されたピンは、三角形で表現されアンダーカット形状のまま加工されるため、結果としてピンの曲がりや折れが発生します。
また、金型加工においては立壁に近い、深リブ形状でも同じことが言え、以下のようなトラブルを引き起こします。
・ロングネック工具のカケ、折れ
・寸法不良
・面品位が悪い(形状がアンダーカットで仕上がっている)→成形品の離型不良
「サーフェス演算」においては、形状をそのままに高精度ツールパスを作成する事ができ、各種トラブルを解消することができます。
面品位の違いが磨き作業にどのように影響を及ぼすか、新たなサンプルを作成いたしました。
ワークはSTAVAX(52HRC)、Surface A~D(以下A~D)2個1グループにエリア分けし、1つを手仕上げ鏡面になるまでの処理時間とコンパウンドの番手比較を行ないました。
C・Bは#600からのスタートし、仕上げ#6000で鏡面仕上げとなりました。
Aは#3000から始めましたが、30分後も変化が見られず#1200まで番手を落し、合計300分かかりました。
「サーフェス演算」によって加工されたDは#3000、#6000、計152分で仕上げる事ができました。
所感として、1μのトレランスとはいえ、全面に細かなポリゴン模様があり、均すためには#3000では不十分であったため、2番手落し荒磨きとしましたが、「サーフェス演算」で加工されたものはポリゴン目が一切なく、均し作業が最小限で済み、#3000からのスタートでも十分対応する事ができました。
これは、形状を潰さずに鏡面にできるメリットもあります。
以上の様にCAMのデータ精度を向上させるだけで、ノウハウに依存しやすい後処理工程の大幅な削減を証明することができました。
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