エンシュウは、マシニングセンタへの内蔵が可能な自動搬送装置「E-Loader」を新たに開発した。
日本では10月下旬の展示会「MECT2019」で新発表。手軽に始められる自動化システムとして、タイでは「METALEX 2019」で初披露となった。
METALEX会場にて、エンシュウ株式会社の山下晴央 代表取締役社長に話を伺うことができた。
1920年に繊維機械の製造会社として創業したエンシュウは、時代の流れの中で工作機械へと主軸を移し、現在はレーザー加工や自動化システムなどの最新技術へも挑戦を続けている。
山下社長は、2020年に創業100周年を迎えるにあたり、「日本、海外ともにお客様の多様なニーズにしっかりと耳を傾け、グループのネットワークを駆使して質の高い製品とサービスを届けていきたい」と話してくれた。
▲エンシュウ株式会社 山下 晴央 代表取締役社長
タイには2010~2012年の約2年弱駐在。
タイには、自動車産業を中心に、日系・タイローカル、そのほか沢山の企業がある。
「企業によってニーズは様々だが、それらに対して相応しい機械とサービスを提供することが重要。特にサービスを非常に大切に考えている」と山下社長。
タイの顧客のニーズをつかむには、タイ人の営業や技術(エンジニアリング)スタッフの成長が鍵になる。
山下社長は、「1997年のタイ進出してから現在に至るまでで、タイ人スタッフのサービス力はしっかりと定着してきていると感じる」。その一方で、今後「タイ人スタッフのモチベーションを上げながら、『タイ市場のためにこうしたい』という思いをスタッフ自らに持ってもらえるように取り組んでいきたい」と今後の課題についても述べた。
特に今後タイ市場で高まる自動化ニーズに、「お客様の声をしっかりと聞いて、どうすれば生産性があがるか自ら考え、アイディアを出して市場に合うものを提案していってほしい」と期待を寄せる。
エンシュウは、タイで主力の立形マシニングセンタなどの製造を行なっている。
そのため、タイ法人には様々な実績や事例が蓄積されてきた。
また製造拠点があるタイから、ベトナムやインドネシア、マレーシアなどのASEAN地域へのサポートも展開している。それだけに、山下社長は「タイにおけるスタッフのエンジニアリング力を高めることは必要不可欠」と話す。
直近では「インドに対しても、タイからサポートできる体制づくりを目指す」という。
タイでは生産自動化の流れが始まっているが、ASEAN他国はまだ市場的に成長の途中にある。
「タイで培った経験をもとに、他国の市場にもエンシュウの強みやできることを伝えていきたい。そうしてエンシュウグループとして多くの皆さまに貢献していきたい」(山下社長)
<取材を終えて>
顧客の声を大切にするエンシュウグループ。
今回披露された自動化システム「E-Loader」も、元々顧客の声から生まれたという。
進化し挑戦し続けるエンシュウだが、「顧客第一主義」が貫かれている。山下社長の話からそう感じられた。