不二製作所は、1950年の創業以来、70年以上にわたって日本におけるブラスト加工のパイオニア的専業メーカーとしてエアーブラスト装置の開発・製造・販売を続けて参りました。
常に新たな技術開発や改良を続けていることで、国内外特許保有件数は150近くにも上ります。 本稿では、ブラスト技術のトレンドや、日本・タイで今後更に伸ばしていきたい領域についてご紹介させていただきます。
▲ 東京都江戸川区松江に本社オフィスと工場を構える不二製作所
独自技術を多数搭載した大型ブラストルーム
昨今、日本の市場では、ルームタイプのブラスト装置が大変好評をいただいています。大型の部品や設備などのブラスト加工を行う大型ブラストルームは、10数年ほど前に、作業性やメンテナンス性を格段に向上させる様々な独自技術を搭載し、製品を大幅にリニューアルしたことで、累計100台以上の受注・販売実績となり、大ヒット商品になっています。
・低床構造でピット工事不要
・風力循環で研磨材の回収、分級を自動化
・換気スピードを劇的に改善し、加工中も視界良好
・安価なメンテナンスコスト
海外でも、すでにインドネシアでの導入実績があり、機能性とコストパフォーマンスを評価いただいています。タイでも受注実績がでてくれば、製缶・現地施工などは現地サプライヤーとの連携も必要になってくるでしょう。今後は、東南アジアにおける製品認知を高めて、潜在的な需要を掴んでいきたいと考えております。
ロボット搭載がトレンド!自動ブラスト装置
リーマンショック以降、生産年齢の人口減や熟練工の老齢化、人手不足などの影響により、日本ではロボット装置の需要が大きく伸びています。タイでも同様の理由で、製造業における自動化は喫緊の課題になると考えていますし、実際その傾向を感じています。
弊社不二製作所は、FUNUCのロボット購入数が東日本地域で一番多いと言われたこともあるほど、ロボット付きブラスト装置を多数製作しています。装置幅1m前後の小型のものから20m超える超大型装置まで顧客の要望に合わせて適切なサイズの装置を製作しているほか、20mを超える大型装置には12台ものロボットが搭載される予定であるほか、ワークの画像認識機能を組み合わせてロボットティーチングを自動化・合理化するなど、デジタル化と合わせて日々進化を続けています。
▲ ロボット付きブラスト装置例
ここタイにおいても、ロボット付きブラスト装置の受注実績が実際に増えてきており、今後も需要が期待できます。
唯一無二のブラスト加工技術|α処理&シリウスZ加工
不二製作所の強みは、装置だけではありません。加工技術にも優位性があります。60年を超える技術開発と経験から積み重ねてきたノウハウによって、ブラスト加工の概念を覆すような独自技術を多数生み出してきました。
■ α処理(金型面改善など)
微粒子ピーニングによって、ワークの最表面にナノ結晶を形成し、緻密で硬い表面を作ります。また極微細なディンプルも形成しますので、強度と摺動性を併せ持った機能表面を作ることができます。超微粒子の加工なので、寸法・形状変化がほとんど発生しないことが特徴の特許技術です。
▲ ショットピーニング イメージ
■ シリウスZ(磨き加工)
独自開発のシリウスZメディアを圧縮エアの力で高速で噴射することによって、複雑形状でも均一に磨きをかけることができ、磨き工程の短縮や合理化、さらには自動化に貢献する技術です。
これら技術は、世界的にも類を見ません。品質や機能面だけでなく、人手不足などの合理化に貢献したり、新しい付加価値表面の創出に貢献したりしています。物理的加工であるブラスト技術は環境負荷が比較的小さいほか、エネルギーの伝達効率を上げたり、製品寿命を伸ばしたりすることで、SDGsの取り組みとしても貢献できると思います。
タイにおいては、自動車部品や金型などの業種での実績が多いですが、今後は新たな業種・領域での採用実績も増やしていくべく、拡販と認知向上に努めています。
ブラスト加工は、加工法 × 研磨材の多様な可能性があり、加工物の特徴や加工目的・用途などの諸条件を考慮した最適解の選定が重要です。独自技術に加えて、長年の経験から得たノウハウも併せてお客様に提供できることも、多くのお客様に支持いただいている理由の一つです。
ブラストの可能性を広げ、付加価値のあるブラスト技術を提供し続けることが私たちの使命です。これからも、ブラストを通じて世界のモノづくりに貢献していきたいです。