強力な緩み止め効果があるナイロック加工。
後編では、ナイロック技術の締結の原理についてご紹介します。
ナイロックの仕組みを理解していただくために、まずは「ネジはなぜ締まるのか?」「なぜ緩んでしまうのか?」ということを知る必要があります。なぜなら、ナイロックを含むあらゆる緩み止め製品は、ネジの締結の原理を利用しているからです。
ネジは、締めこんでいったときに発生する軸力と摩擦力で締結した状態を保てるようにしています。ネジは締めこんでいくと、雄ネジと雌ネジの座面が接地したところからネジ部が引っ張られて伸びていきます。その瞬間から引っ張られたネジが元に戻ろうとする力、つまり軸力が発生します。この軸力が発生することで、雄ネジと雌ネジの接地面(座面、ネジ部)で摩擦力が発生し、ネジが締結できるのです。
では逆に、なぜネジは緩んでしまうのでしょう?それは、その軸力と摩擦力が落ちる瞬間に起きます。雄ネジと雌ネジの間にはある程度の隙間が必ず存在します。隙間がないと勘合できない、挿入できないからです。ただネジ締結後に振動・揺れ・衝撃があると、その隙間によってどうしても軸力が低下する瞬間が出てきます。軸力の低下により、摩擦力が下がり緩んでしまうのです。
一般的に緩み止めネジと言われるものは、この「軸力」もしくは「摩擦力」が締結にとっていかにバランスがとれた状態をキープできるかを深く追求して作られたものです。スプリングワッシャーや平ワッシャー、フランジのついたものなど、あらゆる緩み止めネジが該当します。
ナイロックは、摩擦力をいかに上げてキープし続けるかを追求し、且つできるだけ簡単に施工できるように考え抜かれた技術です。
ナイロックは、下図のように全周に加工せず、90度以上あるいは半周程度の加工とするのが基本です。
ナイロックがついたネジを締め付けていくと、勘合したところから手では締められないくらい非常に硬くなります。ドライバーやレンチ、スパナなどの工具を使うと締め付けられますが、ナイロックはナイロンなので金属より柔らかくネジ部に沿って凹んでいきます。凹むために締めこんでいけるのですが、一旦凹んだナイロックは元に戻ろうという力が発生しています。ゴムボールを手でグッと縮めると反発して手に大きな力が返ってくるのと同じような感じです。その力が、雄ネジと雌ネジの隙間で発生します。そうするとナイロックが付いていない逆の方向にネジが押される力が働き、金属と金属の接地面に発生していた摩擦力が大きくなり、戻り止め効果が生まれるのです。また、ナイロック加工があることにより元々あった雄ネジと雌ネジ間の隙間も小さくなり、振動や揺れがあっても戻る方向に進みにくくなるという効果が発揮されます。
ナイロック加工は工場で塗布してからお客様に供給させていただきます。一般的に、加工毎に一式の加工費がかかるので、数量が少ないと、単価が高くなる傾向があります。しかし、当社阪神ネジでは多くのお客様が汎用的にお使いいただけるような規格を作っており、あらかじめナイロック加工した商品を日本本社で在庫し、日本国内・タイに出荷しています。
1本からでも供給可能ですのでまずはお気軽にお問い合わせください。
※鉄道車両用、原子力発電所向けなど重要保安箇所でのご使用を検討される場合は必ずその旨お伝えくださいませ。
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