ねじの専門商社である阪神ネジ(タイランド)の顧客導入事例として、機械部品の熱間鍛造加工を手掛けるタイ・フォージング・エンジニアリング株式会社(以下、TFE)でのねじ活用例をご紹介する。
▲ タイ・フォージング・エンジニアリング株式会社の外観
TFEは、1991年に設立された農業・自動車・建設など幅広い業界向けに鍛造加工を提供している機械部品メーカーだ。タイ国内販売にとどまらず、フィリピン・インドネシア・ドイツなどへの部品販売も行っている。
主な成形品例
鉄製品
・ ギア&クラッチ:ギアリバース、ギアリバースアイドラー、コネクティングロッド/キャップ、シフトフォーク
・ ハブユニット:シフト、外側リング
・ プロペラシャフト:フランジヨーク、チューブヨーク、スリップヨーク、スプラインヨーク、スプラインシャフト、エンドシャフト
・ CVジョイント:インボード&アウトボード
・ エンジン:ブラケット、コネクティングロッド/キャップ など
アルミ製品
・ショックアップ
・オフロードアクセサリー など
TFEはISO9001:2015およびIATF16949:2016規格を取得しており、部品品質を最も重要視している。 品質管理の専門部署によって材料の品質検査、加工した部品や製造に使用する金型検査、完成品の精密検査など、各工程での品質管理を徹底している。
▲ TFE工場の製造工程の一部
さらに、トレーサビリティシステムを導入しており、万が一問題が見つかった際には、問題が発生した工程や原因の究明を迅速に行えるようにしている。
EV部品の需要高に対応する新技術「アルミ熱間鍛造」
TFEでは、昨今高まるタイでのEV部品需要の高まりを見越して新たな設備を導入し、アルミの熱間鍛造加工の対応もはじめた。
▲ TFE工場でのねじ使用例
熱間鍛造工程は、機械に大きな負荷を与えるため、使用する機械には高い耐久性が求められる。スムーズな機械操作と、使用者の安全や作業効率性を確保するためには、金型と受台を固定するねじの選定はとても重要だ。
規格に則った耐久性の高いねじの導入で寿命が3倍に
阪神ネジのねじを導入する以前は、規格に満たないねじを使用していたことによって、機械稼働中のねじの緩みや破損などの問題が発生していたという。製品の品質低下や機械修理に支障をきたすなど課題を抱えていた。
■ 各種工作機械に適した高品質な材料を使用
■ ねじ転造、焼入れ等を適した方法で加工し、規格に基づき正しく製造されていること
⇒ 熱間鍛造工程に適した正確な強度のねじが求められる
阪神ネジとの出会いは、タイBITECでの展示会がきっかけだった。TFEが抱える、各種ねじの使用上の問題について相談したところ、サンプル試用に至った。テスト導入の結果も良好で阪神ネジのねじ品質を信頼していった結果、採用範囲が拡大していったという。
▲ TFEが使用している12.9グレードソケットねじサンプル
ねじ品質の見直しで人件費削減や作業効率の改善につながる
TFEでの課題は、使用するねじの品質に起因していた。規格に満たないねじを使用することで、破損やねじ山の潰れ等が発生し、「ねじの使用可能期間が短くなる」「機械の修理回数が多くなることで生産ラインの停止を余儀なくされる」などのトラブルが発生していた。
阪神ネジのねじ導入後は、これらの品質問題が解決し、ねじの使用期間が以前に比べて3倍に延びた。さらに、作業時間・人件費の削減を実現するとともに、メンテナンス計画を綿密に組むことができるようになったという。
高品質なねじの提供に加えて、短納期対応は阪神ネジ(タイランド)の強みだ。そして、ねじの選択や仕様に関するコンサルティングサービスも同社の大きな特長と言える。 ねじは小型部品ながらも、製品品質や生産効率に大きな影響を及ぼす。今後も、ねじにまつわる課題解決のアドバイザーとして、同社がタイで活躍していくのは間違いない。
▲TFEと阪神ネジ(タイランド)のスタッフ
【取材協力】
THAI FORGING ENGINEERING CO., LTD.