プレス・板金加工機と工作機械の専門商社「伊吹産業株式会社」のタイ法人「伊吹産業(タイランド)」で、恒例の「プライベート展示会&メンテナンス講習会」が開催された。7月24日と25日の2日間の日程で、プレス機などの利用顧客や購入を検討している取引先のタイ人技術者らが参加。材料搬送ミス検知装置を製造する「杉山電機システム」(名古屋市)や、同じ敷地内に本社を置くパートナー企業「ENSHIN INDUSTRY CO., LTD.(エンシンインダストリー)」の担当者らが演壇に立ち、参加者らは熱心に技術指導に耳を傾けていた。
この会は、今回で3回目。毎年この時期に、エンシンインダストリーの本社倉庫を会場に開催している。プレス機や旋盤といった工作機械の操作方法を基礎から解説していくのが特徴だ。主催する伊吹産業タイランドの横幕久治社長は「無理をしたり、適正なメンテナンスを欠けば、機械が壊れ、金型も破損する。講習会では、欠かせない予防点検や日常点検から始まって、機械の正しい使い方に中心に解説している」と話した。
前年に引き続き、杉山電機システム・関東営業所の坊田健治氏が講師として来タイした。タイの日系企業の間でも、ほぼ標準装備となりつつある材料搬送ミス検知装置の操作方法などが改めて解説された。センサーが異常を感知すると材料の搬送が自動でストップする仕組みだ。この装置を使うことで、金型の破壊と不良品の生産が抑えられる点が説明された。今後は、ローカル市場にも浸透していくとみられるだけに、タイ人参加者らの関心も高かった。
今回、杉山電機システムはカス上がり検出器「ダイハイトデテクタ PS462」の展示及び解説を行った。この検出器は、抜き型によって発生する金属等のカス片が金型の内部に付着するのを監視、製品に傷や凹みを付けるのを防ぐ装置だ。自動車の内燃機関など極めて高い精度が求められる部品をめぐっては、わずかな異常が大きな事故にもなりかねない。タイではまだ標準装備にはなっていないものの、「産業の高度化が進む中で今後、こうした需要は必ず出てくる」と坊田氏はみている。
坊田氏はこうした講習会のほか、1カ月半~2カ月に1回のペースでタイに出張し、顧客の困り事の相談に乗っているという。「タイの製造業もずいぶんと成長した。近ごろは、こういう異常の検出ができないかという現場からの声が自然と上がるようになった」と目を細める。「日本とタイのモノづくりの橋渡し、当分、続けていきます」と力強く語った。
講習会ではこのほか、エンシンインダストリーの担当者も登壇した。伊吹産業タイランドが販売するプレス機や工作機械等の据付、修理、メンテナンスを一手に引き受けている。タイでは怠りがちな日常点検や予防点検に力点を置いた解説・アドバイスを展開。会場は終日、タイ人技術者らで賑わっていた。
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