今回のコラムでは、前回に続き当社のアンケート調査「在タイ日系製造業の実態と将来の動向」をもとに製造現場の問題と今後の付加価値向上の方向性について考察したいと思います。
前回言及したように、企業の継続的な成長のために解決すべき課題の1つは「人員増、賃率UPによるコストアップ」です。その背景には、最低賃金の動向、労働需給の逼迫(ひっぱく)、高齢化によるコスト増などがあります。それに続く課題としては、「売上の低迷、伸張率の鈍化」です。今後は、バーツ高や経済成長率の低下などにより、ますます厳しいビジネス環境になることが予想されます。
上記のような厳しい環境で成長を維持するには、環境に適応できる強い製造拠点であることが求められますが、足元には問題が山積しています。
上記の①の結果を見ると、具体的な問題としては、「労働・設備生産性が上がらないこと」を筆頭にモノづくりの基本であるQCD(品質・価格・納期)の実現に問題を感じている企業が多いことが分ります。実際に現場リーダの声を聞いてみると、「自分がかけ声を止めると、改善活動がストップしてしまう」、「モチベーションにバラつきがある」また、「ここ数年、生産性向上活動を継続しているが、まだあと3~4年はかかりそうだ」という状況です。急ぎ足元の問題を解決し、成長の基礎を築く必要があります。
また、成長維持のための付加価値向上に関しては、②の結果を見ると「開発・生産技術を立ち上げ、自己完結型拠点を目指す」という企業が多くなっています。続いて、「より多品種の生産を実現する・圧倒的な生産能力の実現」であり、現状の品種と量では拠点が存続できなくなることを予見していると読み取れます。
※JMACでは、様々なモデルやフレームワークを使い、異文化ギャップの問題を解決します。
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