日本の匠が語る、オーバーホールの「ここが凄い!!」
本社(光洋機械工業株式会社)からタイに来ました 岡田 伸明(おかだ のぶあき)と申します。
当社の工作機械は、東南アジア地域で1,000台以上使用されています。
それらの機械の約40%は生産から15年以上経過し、今オーバーホール(以下OH)の時期を迎えています。
当社は2015年よりタイ国内でオーバーホール事業をスタートさせ、2019年に専用の自社工場を立ち上げ、OH事業に力を入れています。
私の役割のひとつが、OHの体制強化です。
オーバーホールのノウハウをタイ人スタッフにしっかりと伝える
▲ユニットごとに分解した部品を分ける
OHの作業工程としては、まず当工場に持ち込んだお客様の機械を分解(バラし)します。
このバラす過程では、注意する点が3つあります。
① 各ユニットの部品を混在させない
② 機械にストレスを与えないよう丁寧な分解を心がける
③ 重要部品の水平・垂直・平行の基準面の修正方法を決め、復元する
①は、バラした部品をユニットごとに仕分けすることです。
カスタマイズされたユニットは、客先別の部品があり、各ユニットごとに仕分けしておかないと復元の工数が増える上、組立ミスなどの失敗の原因となります。
このようなミスを防ぐために、当社のナショナルスタッフは仕分けをていねいに実施します。
②は、繊細な部品が多く、使用状況を把握するため、ていねいに分解することが重要です。
③の基準とは、ユニットの中心となる部品の水平・垂直・平行を復元することです。
もともと新品の機械は、水平・垂直・平行の精度は正確に調整されているのですが、使用していくと精度は変化していきます。その状況が分解するとわからなくなってしまいます。
基準になる部分の精度を計測し、その修正方法と狙い値を決めていきます。
▲ワークスライドの状態をチェック
例えば上の写真のワークスライド(砥石の切り込みスライド)ですが、使っているうちに摩耗し、精度が悪くなっていきます。スライドの摩耗は、ワークの加工精度に大きく影響します。
各部分の厚みを計測して、計測値を記録します。
▲ワークスライドの凹みをピックテスター(ダイヤルゲージ)で計測する
▲ワークスライドの表面に数値を記入し、復元方法を決めていきます
(この場合は、基準面の精度が良くなかったので、平面研削加工→きさげ加工で修正します)
オーバーホールの要(かなめ)! 匠の技の『きさげ加工』
▲きさげ加工を施すOHのナショナルスタッフ
きさげ加工とは、機械加工精度では出せない平面精度をさらに手作業で上げていきます。
また平面精度が高い部品が二つ合わさると、潤滑油が入らず、固着や焼きつきが起きて停止してしまいます。
その平滑面に専用の鑿(のみ)で細かい窪み(油だまり)をつけることです。
つまり、平面の精度を上げ、さらに摩擦が起こりにくくすることを『きさげ加工』と呼びます。
きさげ加工は機械加工の精度を超える繊細な作業で、研削盤では欠かせない職人の技となっています。
「きさげの良し悪しで機械の出来が決まる」とも言われていました。
光洋機械工業タイでは、この高度な技術を持ったナショナルスタッフがOH作業にあたります。
▲光洋機械工業タイ・オーバーホール工場のナショナルスタッフ
当社の工作機械は、メンテナンスをしっかり行ないながら使用すれば20年保ちます。
OHをすることによって、もう20年使うことができます。
タイでのオーバーホールは、光洋機械工業タイにお任せください。