加工機械の性能レベルで、工場全体の生産能力は大きく左右される。
304工業団地で自動車・オートバイの部品加工を行うトリックス マニュファクチャリング(タイランド)(以下、タイトリックス)は、工場で使用する研削盤の性能を底上げしたことにより、生産効率の向上、設備の自動化ライン構築に成功した。
今回は、同社でのジェイテクトマシンシステム製 研削盤導入と研削盤オーバーホールの事例をご紹介する。
安定した加工精度と高剛性が強みのセンタレス研削盤
タイトリックスでは、計5台のセンタレス研削盤を使い、バイクのシャフト部品加工を行っていた。機械の老朽化が進む中で、いかに生産効率を上げていくかが課題だった。
2020年10月にジェイテクトマシンシステム製のセンタレス研削盤「C4520F」を新規で2台導入。
並行してジェイテクトマシンシステムタイにて、既存の他社製 研削盤2台のオーバーホールを行った。
▲ タイトリックスに導入したジェイテクトマシンシステム製センタレス研削盤を含む生産設備
▲ 生産設備を後からみた様子
同設備では、オートバイのギアチェンジ部分に使用されるシャフトの加工を行っている。オートバイの安全と性能に関わる重要な部品であるため、顧客からは特に高品質を求められる部分だという。
▲ 手前からシャフト部品の加工前、加工後
▲ 研削盤で部品表面に発生する微細な溝を削る
「ジェイテクトマシンシステム製の研削盤については、導入前から加工精度の高さに定評があることは耳にしていました。実際に使用してみて、やはり他社製とは一線を画する精度であると体感しています。 剛性の高さ、部品寸法の安定性などメリットは多数挙げられますが、他メーカーの研削盤に比べて機械そのものの調整回数が半分程度になりました。おかげで砥石の寿命も延びており、以前は3ヵ月に1度交換していたのが、現在は年1回程度の頻度になっています」(タイトリックス 岡田氏)
▲ センタレス研削盤『C4520F』
新品機械以上の加工精度を生み出すジェイテクトマシンシステムタイのオーバーホール
研削盤の新規導入の他に、すでにタイで20年近く使用している他社製の研削盤2台のオーバーホールも実施。1度目のオーバーホールは機械を日本に輸送してメーカーにて行ったという。
▲ ジェイテクトマシンシステムタイでオーバーホールを行った研削盤
実際に工場で機械を動かして加工を行うのはローカルスタッフなので、彼らの意見や要望を第一優先に、自主的に進められたことは大変重要です。そういった意味で、今回のタイでのオーバーホールは、ローカルスタッフの成長にもつながる良い機会でした。
また、日本でオーバーホールした時と比べてトータルコストが半分程度にまで抑えられました」(タイトリックス 田中氏)
研削盤の能力向上で生産設備のフルオート化を実現
元々、タイトリックスのシャフト生産ラインは、NC旋盤4台/転造機1台/研削盤2.5台の組み合わせで構成されていた。よって、以前は研削盤の0.5台分の加工キャパシティーがうまく活用しきれず、人手を使ったり能力余剰になっていたという。
しかし、今回の研削盤アップデートによって1台あたりの加工能力が向上し、2.5台必要だったものが2台で賄えるようになった。それにより、生産ラインをフルオートにし、生産キャパシティーを最大限有効活用することに成功した。
▲ フルオート化したシャフト加工ライン
「生産設備の能力向上により、月産約20万個の部品を4台の研削盤で加工できるようになりました。よって部品単価のコストダウンにもつながり、顧客からの良い評価もいただけています。
ジェイテクトマシンシステム製の機械は、グループ内でもタイ工場での導入が初の試みでした。今回のタイでの取り組みを皮切りに、同社とは日本やメキシコ拠点でのつながりもうまれています。将来的には、グループ全体でジェイテクトマシンシステム製機械の導入が進んでいくかもしれません」(タイトリックス 田中氏)
▲ TRIXタイのスタッフ一部、新社屋エントランス前にて
▲ 左から、TRIXタイ岡田氏・田中氏
TRIX MANUFACTURING (THAILAND) CO., LTD.
田中 健嗣 Kenji Tanaka
Managing Director
岡田 敏明 Toshiaki Okada
Production 2, QC&QA, TC Coordinator
【取材協力】TRIX MANUFACTURING (THAILAND) CO., LTD.