研削盤などの工作機械の販売や自動車のインターミディエートシャフト生産などを手がける光洋機械工業タイ。サムライ編集部は、前野泰一社長と西岡康一取締役兼GMに取材しました。
光洋機械工業タイは、バンワとバンポーにある2つの工場を統合し、チャチューンサオ県バンポー郡に生産拠点を集約。一元化稼働させます。同社は、工作機械と自動車部品の2つの事業を大きな柱としていますが、事業拡大のため、工作機械事業をより一層強化する方針です。その一環として、稼働開始予定のバンポー工場にはオーバーホール部門を新設予定。協力会社だけでは賄いきれないオーバーホールの需要に、自社でも対応していきたいとの考えです。
約1万㎡の敷地面積を持つ新工場は、今年4月のオープンを目指しています。オーバーホール事業のニーズ拡大を見越して、バンポー工場には、独立したオーバーホール棟(工場)の建設も予定しており、稼働開始は6月の予定です。
タイでは90年代末から2000年代以降、自動車部品の現地生産が本格化。これに伴い、研削盤など工作機械の需要が急速に高まるようになりました。同社がターゲットとするのは、こうした2000年前後にタイに導入された研削盤などのオーバーホール。「工作機械などの設備機械は、新品での納入後15年~20年が経過すると、悲鳴を上げはじめ修繕が必要となる」と西岡康一取締役兼ジェネラルマネージャー。その更新期・需要期が数年前から順次始まっているのだといいます。
ただ、高額なことからすぐに買い換えることが難しい工作機械。一方で、オーバーホールにより寿命が延び、性能も向上するとあれば、一定の市場のニーズがあるはずだと同社は読んでいます。「工作機械を売るだけでなく、その後の責任もしっかりと持ちたい」と前野泰一社長。
オーバーホールを手がけることのできる社内技術者の養成は欠かせません。同社では、事業の自動化・効率化を進めるなどして人員を捻出し、タイ人技術者の育成を進めていく方針です。指導役として日本本社からベテラン技術者を招く計画もあります。「新たにエンジニアを雇えば良いという安易な選択はしない。一方で一人たりとも解雇もしない。まずは30人~40人を目標にトレーニングを進めたい」と前野社長。5年後には50人体制に引き上げる意向です。
バンポー工場に設置されるオーバーホール部門では、月3台ペースで研削盤等の分解・修繕を行っていく方針です。複数台の作業が同時に行えることで、営業や受注の同時進行も可能になります。急な顧客の要請にもできるだけ応える体制を目指します。
当面は、タイで稼働する自社製の研削盤等に絞って事業展開を図ります。需要の動向をみて、順次アセアン全域に拡大予定。5年を目標に他メーカー製機械も取り扱っていきたいといいます。
「時代のニーズに対応した当社しかできない日本品質を提供し、タイのモノづくりに貢献したい」と前野社長は力を込めます。
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