CNKマニュファクチュアリング(タイランド)(以下CNKタイ)がこれまでニュース記事で紹介したDLC(ダイヤモンド ライク カーボン)コーティング技術は、我々の身近なところでも使われている。例えば、ペットボトルの内側、時計のベルト、メガネフレームなど。
DLCコーティングは、耐蝕性(液体や酸素が通過できない被膜を形成するため、酸化しない)、耐摩耗性(摩擦による磨耗を低減)、耐焼き付き性(摩擦熱を低減する)、表面平滑性(滑らかな皮膜の形成により摩擦係数が少ない)、絶縁性など、幅広い製品に付加価値を与えることができる技術だ。
CNKタイは、2020年よりDLCコーティング事業を開始。重要部品である、自動車エンジン部品へのコーティングを始めました。タイでもDLCコーティングの需要が高まる中、ユーザーから様々な相談が寄せられているという。
CNKマニュファクチュアリング(タイランド)副社長、浅井 成行(あさい なりゆき)氏とプロダクションアドバイザーの橋富 弘幸(はしとみ ひろゆき)氏に話を伺った。
▲DLCコーティングの作業風景
DLCコーティングの特長を活かした新規ビジネスの可能性
—DLCコーティングの実例としては、どのようなものがありますか?
浅井:DLCコーティングは、ダイヤモンドのように硬いというだけではなくて、いくつもの特長があります。
例としては、
1. DLCの硬さを利用し、金型にコーティングして強度をあげる
2. 絶縁を兼ねた錆止めコーティング
3. 摩擦係数が少ない為、高負荷摺動による焼き付き問題を解決
4. カーボンの黒色を活かした、耐久性のある装飾品(時計のベルト等)に使用
5. 異物が固着しにくい。樹脂金型などの異物付着問題を解決
などが挙げられます。
当社では、今まではDLCの硬さを売りにして、金型や自動車部品のコーティングの受注を狙っていたのですが、摩擦抵抗が少ないという点に着眼されたお客様から、プレス機械にDLCコーティングを施して欲しいという依頼が届きました。
具体的には、
■プレス後の製品がどちらかの金型にくっついてしまうと、抜き取り作業に手間がかかる
■機械による自動作業の際、同じ位置にワークがないので、機械がエラーを起こしてしまう
ということでした。そこで、剥離性を高めたいと。
別の案件では、機械のギアとチェーンの摩擦を少なくすることで、パワーロスが起こらないようにしたいというものもありました。
また、硬いだけではなく、摩擦抵抗が少ない、しかもくっつかないというDLCの特長を複合的に利用する案件も増加しています。
自動車部品だけではなく、いろいろな機械部品にもDLCコーティングを行なうメリットを見出せると思っています。
—CNKタイのDLCコーティングは、他のDLCコーティングと何が違うのでしょうか?
橋富:当社のDLCコーティングはガスを使って行なうもの(DCプラズマCVD法とPIGプラズマCVD法)なので、表面がきれいに仕上がります。
上の表のPVD-Aのように、表面の荒さが刺々しいものは、相手攻撃性が高くなります。
例えばドリルにコーティングした場合、より相手を削ってしまうことになります。
当社のDLCコーティングは、非常に硬いのですが相手を攻撃しないため、摩耗が抑えられるのです。
—CNKタイのDLCコーティングの今後の課題は?
橋富:今のところ、コストが割高になる点です。
高級感のある黒色に加えて装飾性と耐久性も備えているので、水道の蛇口にDLCコーティングをして欲しいという依頼がありました。しかし、量産品としてタイ市場で販売するには高価になりすぎるということで商談が流れてしまいました。
富裕層の邸宅に使用することは可能だと思います。
—最後にひとことお願いします。
橋富:当社は、トライアルとしてテストコーティングをご用意しています。DLCコーティングの優位性をぜひ実感していただきたい。価格はご相談に応じます。
皆さまからのお問い合わせをお待ちしています。
浅井:日本CNKのDLC技術をタイにも展開して行きます。ぜひ、当社のDLC効果を実感してください。
タイでDLCコーティング、高周波焼入れ、浸炭焼き入れ焼き戻し等の加工をお探しの際は、お問合せフォームよりご連絡ください。