JTEKT COATING (THAILAND) CO., LTD(以下、JCTTH)はこれまで、主に自動車や二輪向け量産部品へのDLCコーティングの実績を重ねてきました。
またDLCの中でも、素材を高温にさらさずに加工できる低温処理の「PIGプラズマ方式」という技術を前回記事でお話ししました。
今回は、このPIGプラズマを使って治工具でもコーティングで困りごとを改善できた事例をご紹介します。
▲ PIGプラズマ方式加工装置
タイでは初の実績!治工具(刃物)へのDLC加工(PIGプラズマ)
ある機械製造メーカー様で、セラミック(瀬戸物)の粘土質の素材を切る際に刃物を使用されています。セラミックは粘土質で石や土も含んでいるため、刃物の刃先が痛みやすく、一年に約100本もの刃物を使われます。
従来、日本で刃物を調達し、タイへ輸送されていました。しかしコストや時間の面からタイでの現地調達を進めることを検討し、タイで刃物を調達してDLC加工を試したが、思ったような精度が得られず困っていたところで弊社にご相談を頂きました。
条件をヒアリング後、DLCの中でも薄物の刃物にも影響が出にくい低温処理のPIGプラズマ方式をご提案し、コーティングを行いました。
結果、日本調達品と遜色のない精度が得られ、お客様に喜んでいただくことができました。
▲ DLCコーディングを行った治工具イメージ
DLCコーティングが現地調達できることで、コストが30%以上削減できるだけでなく、発注や輸送・物流の手間が無くなるため、これはタイで同じようにお困りのお客様に貢献できる、と今後の可能性を感じています。
▲ DLC加工装置に治工具をセットしている様子(試作品加工にも既存治具を活用し、費用を掛けずにテストを実施)
▲ 試作品を簡易治具で洗浄している様子
繊細な治工具におすすめ!DLCコーティング-PIGプラズマ方式のポイント
✔ 低摩擦・剥離性向上
✔ 250℃以下の低温処理で、薄物の刃物でも歪みなどの影響なし
耐久性向上はもちろんのこと、特に刃物に求められる切断時の周囲への影響を小さくシャープに切る「剥離性」を向上させます。また、高温処理だと薄い金属は形状が変わる可能性がありますが、低温で処理を行うのもPIGの特長です。
JCTTHのDLCコーティングの強みとご提案
DLCコーティングをご提案すると、こんなお声を聞くことがあります。
「実際にやってみたいが、テストだけでも費用が高額では?」
「少量なので、他ではテストの段階で断られてしまった」
JCTTHでは、お客様のお困りごとの改善に貢献することを、何より重視しています。
お気軽に実物で少量からトライアルテストをして頂き、実際の効果を判断していただけます。
日本では、既にこういった工業用治具・刃物のほか、釣り具や登山グッズなどの刃物のコーティング実績もあります。また、世界的に「エコ」「環境」という機運が高まる中、有害物質が出てしまうテフロン加工の代わりとして、DLCコーティングに期待が高まりつつあります。
当社としても、従来の枠にとらわれず、DLCを用いて様々な形でお客様のお悩み解決のお手伝いができればと考えております。