工作機械部品の摩耗やズレを調整し、機械本体の精度を高め、寿命を引き延ばすオーバーホール。
研削盤や旋盤などの工作機械から産業機械、周辺機器まで幅広く取り扱うKGK エンジニアリング(タイ)は、テクニカルマネージャーの伊貝 明高氏をメインに顧客のニーズに応じたきめの細かいオーバーホール事業も展開している。
「KGKが顧客から選ばれる理由は何なのか?」
取引先の一社である農機部品等製造販売のイケ(タイランド)様の南 郁雄氏との対談からKGKの強みを深掘りする。
左:伊貝 明高氏 テクニカルマネージャー / KGK エンジニアリング(タイ)
右:南 郁雄 ゼネラルマネージャー / イケ(タイランド)
伊貝:イケ(タイランド)から円筒研削盤のオーバーホールについて、問い合わせをいただいたのは昨年12月のことです。
お話を伺うと、対象となる機械は1970年製。稼働半世紀になるものでした。
真っ先に頭に浮かんだのは「製品図面や代替部品はまず存在しないだろう」ということです。
▲1970年製の円筒研削盤。オーバーホールで精度が甦った
実機を診断してわかったことは、水平軸が摩耗し、心押台によって固定されるセンターの位置がずれているということでした。
これでは、作業のたびに中心位置の調整が必要となってしまいます。
作業効率も悪くなり、何より製品の精度に影響が出る。
南:製造から50年が経過している研削盤ですから、経年変化は数年前から感じていました。
ただ、最近になってセンターのずれが顕著となってきたことから、対応を検討することになりました。
買い換えも選択肢の一つではありましたが、まだまだ現役で稼働ができます。
そこで、「オーバーホールを試みる」という判断をしました。
▲往復台のテーブルが、きさげ作業で滑らかに
とはいえ、タイで対応してくれるサプライヤーを知りません。
インターネットで検索し、見つけたのがKGKタイランドでした。
連絡を差し上げると、お見えになったのが伊貝さん。
聞けば、この道15年のプロフェッショナル。
きさげ作業もご自身でされると聞き、しかも費用も安価で驚きました。
伊貝:タイ出向前に日本で担当していた仕事が、機械の据え付けやオーバーホールでした。
これまでに手掛けた機械は100台以上。
製造が古くて図面がないもの、海外製で一見するだけでは仕様が分からないものもありましたが、経験と上司からのアドバイスを頼りに実績を積んできました。
今回の研削盤は、製造が古いものの標準的な製品です。
まずは往復台に据え付けられたテーブルを取り外し、きさげ作業を施しました。
摺動面の摩擦を減らすことで機械は見違えるように精度を回復します。
製品をお預かりしてから正味5日の作業でした。
▲軸のズレも修正された
南:当社は、農機部品や機械設備を設計製造する大阪のメーカーです。
取引先の進出に伴い1984年にタイに進出しました。
オーダーメイド生産が基本ですから、円筒研削盤のほかマシニングセンタや旋盤、フライス加工機など、ひと通りの機器を保有して、顧客からの注文に備えています。
しかしながらタイ進出から35年以上が経過し、機械類にもそれなりの経年変化が生じています。
メーカーとして設備の更新は考えますが、設備投資にも限界があります。
このような時にKGK タイランドの存在は、強い味方となって私たちを支えてくれています。
▲依頼主であるイケ(タイランド)の工場内。奥にあるのがビンテージ研削盤
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