モノづくりを行う企業にとって「設備の自動化をどう進めたらよいか?」は大きな課題だ。
それぞれの製造現場には長年培ってきた生産技術や製品ごとの特徴があり、自動化にあたっては、その現場に合わせた“一品一様”のロボットシステムを導入することが理想的だ。
「マルカマシナリー(タイランド)」(以下、マルカ)は単にロボットを販売するだけでなく周辺機器や制御システムの設計、修理やメンテナンスまでサポート出来るエンジニアを抱えている。
本記事では、タイ国内で開発・納入された日本品質のロボットシステムの事例を紹介する。
タイの現場に合わせて特別設計したダイカスト用取り出しロボットシステム
「双立タイランド」(以下、双立タイ)は、アルミダイカスト製の重要保安部品や精密機械部品などの製造・販売を行っている。生産設備の拡充にあたり、アルミダイカスト製品を取り出すための専用ロボットシステムをマルカにオーダーした。
<オーダーメイド製品取出しロボットシステムのポイント>
・6軸多関節ロボットを最短納期、リーズナブルな価格にてご提供
・同社製品に合わせて専用ハンド(グリッパー)を設計・製作
・同社工場向けに独自のロボット制御システムを設計・製作
▲NACHI(不二越)の多関節ロボットMC50(可搬質量50kg)をベースにカスタマイズ
価格面以外にも短納期と実績と保守が決め手に
創業から80年以上の歴史があり、現在ではタイとマレーシアでも事業を展開する双立が、数ある機械商社の中からマルカとの取引を決めた理由を聞いた。
▲左から、マルカ佐野氏、双立タイ寺島 氏
寺島:今回の取り出しロボットシステムにおいて、最大の決め手は納期と価格でした。当社が希望する納期を前提条件として、マルカと不二越が価格において尽力してくれた上に、アフターサービスにおいてもタイ現地で対応できることもあり選ばせていただきました。
佐野:日本では採用していないロボットメーカーを海外で選ぶ企業は珍しいと思います。商社についても「日本で付き合いの長い商社とそのままタイでも取引したい」というお客様は多いですが、双立さんは非常に柔軟です。これまで日本ではマルカとの取引実績がないにも関わらず、フラットに比較検討してくださいました。
寺島:日本で使っているロボットや商社だから安心…ということよりも、その土地にネットワークを持ち、迅速かつ柔軟に対応してくれることのほうが重要です。マルカさんには来年度以降の設備計画についても相談しており、今後も更なる関係を構築していく方針です。
28年にもわたり機械加工の現場に携わってきた寺島氏は、現在、日本にいながらタイ法人の責任者とマレーシア法人のアドバイザーを兼任している。
国をまたいだ経験があるからこそ「土地ごと・商社ごとの強みや特色を活かすべき」という視点につながっている。
▲双立マレーシア法人の工場
MARUKA MACHINERY (THAILAND) CO., LTD.
佐野 力哉 Rikiya Sano
Division Manager
2005年 東京支社 東京産業機械2部に配属
2012年 静岡支店を立ち上げ
2017年 MARUKA MACHINERY THAILANDに赴任
Soritsu (Thailand) Co., Ltd.
寺島 豊 Yutaka Terashima
Vice President
1995年 株式会社双立に入社後、機械加工を担当
2015年 タイ工場の責任者に就任
【取材協力】
Soritsu (Thailand) Co., Ltd.合金ダイカスト製品・各種金型の製作販売を行う。タイでは二輪車向け製品の実績が多く、人命にかかわる重要保安部品の品質と製造技術が厚く信頼されている。