日本でオーダーメードで製造した専用加工機の管理やメンテナンスをタイで行うのは、容易なことではない。特に使用10年超の機械や設備は、メーカー側でもの対応が利かなくなる他、部品の調達などにも苦労するだろう。
今回は、マルカマシナリー(タイランド)(以下、マルカタイ)が手掛けたフルハーフマハジャック(以下、FMC)での専用加工機のオーバーホールと電気制御更新の事例をご紹介する。
FMCは、タイで冷蔵・冷凍トラック架台の製造と販売を手掛ける専業メーカーだ。 独自技術で開発した断熱材を活かした製品群を強みに、タイ・東南アジアのコールドチェーン構築を支えている。
同社が保有する大型NCフライスは、冷蔵トラックで使用する断熱材の溝加工・コンタリング・切断などを行う加工専用機械だ。断熱材を製造するのに不可欠な特殊機械で、いわばFMCの工場の要となる設備である。
日本で特注してタイに持ち込んで以降、大きなトラブルがなかったこともあり、現地でメンテナンスをすることなく約10年以上使用し続けていた。
そんな矢先に機械の心臓部である電気制御(PLC)に致命的な故障が発生。メーカーをはじめ多数サプライヤーに相談を持ち掛けたが、どこも解決策が見出せず、たらい回しになった。
【FMCでの電気制御更新、機械オーバーホールのポイント】
✔ 制御プログラムの更新
メーカー側のアップデートが終了している古いバージョンを使用していたため最新版に適応できるよう、プログラムをゼロから書き換えて再構築し、処理能力が大幅に向上。
✔ 機械全体の保全チェック
トラブル発生箇所のみならず、設備全体のチェックを行い、将来的に故障が発生しそうな箇所を予見し、機械のダウンタイム発生を未然に防止。工場の電気系統の見取り図も作成。
✔ モーター箇所のオーバーホール
構造を見直したことで、モーターを2軸制御から1軸へ改修。結果的に電気代と交換部品の削減につながった。
「製造から部品調達まで全て日本で行った特注機械なので、説明書も全て日本語です。タイで修繕対応してくれるサプライヤーはなかなか見つかりませんでした。マルカタイの優秀なエンジニアの技術で、設備の構造紐解きから現場での再構築まで安心してお任せできました。おかげで製造における大きなロスの未然防止につながっています」(FMC山上氏)
マルカタイのサービス部門には、日本人3名・タイ人4名のエンジニアが所属している。いずれも知識と経験豊富なスタッフが揃い、タイの日系商社のなかでは随一のレベルを誇るという。
今回のオーバーホール案件についても、その難易度から断る企業ばかりの中、唯一マルカタイだけ解決策を提案できた。
「タイでは機械トラブルを相談してもその問題箇所の修繕しか対応してくれないことが多く、現場に知識がなければ故障を未然に防ぐことは難しいでしょう。その点、マルカタイのサービスは、問題箇所の対応に加えて、現状チェックと将来的に故障が発生しうる可能性のある箇所の指摘もしてくれるので大変レベルが高く、信頼できると感じています。
目先の故障対応だけでなく、定期メンテナンスを行うことは、工場におけるリスクマネジメントでもあり、会社としてもメンテナンス領域の予算計画がしやすくなります。そういった観点でも、機械メンテナンスこそ、価格より質を重視すべきだと考えております」(FMC山上氏)
今回の取り組みをきっかけにFMCは、機械や設備の定期メンテナンスをマルカタイに委託していく。まずはNCフライス同様、断熱材製造において重要な、接着機と立形バンドソー(切断機)のメンテナンスを計画している。
Fruehauf Mahajak Co., Ltd.
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