マテリアルオートメーション(タイランド)(以下MAT)を通じて会計ERPシステム『mcframe GA』を導入したNIPPON STEEL Steel Processing (Thailand)。
同製品採用に至るまでの経緯や、導入後に改善した点などについてお話を伺った。
サムライ編集部(以下、編集部):
会計システムに『mcframe GA』を選定された経緯をお聞かせください。
総務ゼネラルマネージャー:
タイの会計制度は独特なため、当社は設立時からタイ製の地場会計パッケージを利用してきました。しかし紙ベースの処理が多く、月次・年次決算に長時間を要するなど、機能面の課題を抱えていました。
また当社は、2013年に前身二会社が合併して発足しました。そのためBOIプロジェクトの数が多く、決算やデータの処理が複雑になりましたが、人海戦術で対応せざるを得ませんでした。
そこで、2017年に業務システム改善長期計画を策定。以下の条件に合う会計システムを探したことが導入のきっかけです。
◾️タイ会計・税務制度にフル対応し、改定等はパッケージ側で対応
◾️BOI決算が容易
◾️固定資産、購買、在庫管理が可能
◾️長期的な運用サポート
編集部:
プロジェクトは順調に進みましたか?
総務ゼネラルマネージャー:
業務上の課題を会計システム要件や機能に落とし込むことが自前では困難でした。そこでMATさんに、業務・帳票の調査分析コンサルティングを短期的に行なっていただき、そのアウトプットに基づいて全体の提案・見積もりをしてもらいました。
またMATさんのタイ語が堪能な日本人エキスパートに、ローカル会計スタッフと日本人の会計GMの間に入っていただいたことで、双方の意思疎通が十分にできました。おかげで当社固有要件とタイの会計・税務制度、ERPパッケージとの機能整合や制約の回避などを効率よく実施できました。
編集部:
これまで『mcframe GA』をご利用になってみて、良い点・不満な点があれば教えてください。
総務ゼネラルマネージャー:
『mcframe GA』は日本製のグローバル向けERPですが、タイ固有の機能・帳票等が十分に網羅されており、現在まで大きな不具合はありません。Webアプリのためブラウザだけで利用でき、在宅ワークも対応可能です。日本語での問い合わせ・改修などの相談ができるのも安心です。不満な点は特にはありません。
固定資産管理には、MATさんが開発したハンディターミナル連携ソフトを追加導入し、バーコードラベルで管理しています。これにより、年に一度行なう固定資産棚卸が短期間で完了。80%以上の大幅な時間短縮が実現しました。
また以前は当社では、素材以外の購買品は紙ベースで購買要求を行なっていたため、精度・スピード、発注ミスといった面で問題がありましたが、『mcframe GA』の周辺システムとしてサイボウズの『キントーン(kintone)』を用いた購買要求ワークフローシステムをMATさんに開発いただき、上記問題を解決。承認サインが電子承認になり、日本人駐在員の業務負荷が軽減されました。また購買履歴機能で購買価格のトレンドなどを容易に確認できるので、申請内容を吟味できるようになりました。
編集部:
総合的な評価はいかがでしょうか。
総務ゼネラルマネージャー:
今回のプロジェクトに際して、当社では次のような目標を立てていました。
① 月次決算時間の大幅な短縮
② 会計スタッフを30%強削減
結果的にいずれも達成することができて満足しています。ローカル会計スタッフからも業務効率化、残業削減の面で歓迎されています。
また生産管理システムを『mcframe GA』と連携したことで、従来機能(素材入庫と製品出荷時点の管理)だけでなく仕掛品の管理が可能となり、在庫管理も強化されました。
編集部:
日系製造業の海外法人における会計システムプロジェクトとして、良い事例を伺えました。
本日はありがとうございました。