マエカワ(タイランド)の中核製品の1つ、自然冷媒冷凍ユニット『NewTon(ニュートン)』のタイでの導入事例をご紹介。今回は、BANGKOK COLD STORAGE SERVICE, LTD.(以下、「BCS」)の新設冷凍・冷蔵倉庫に導入された背景とメリットを紹介していく。
川崎汽船グループが運営する大型冷凍冷蔵庫BCS第3倉庫
日本の大手総合物流企業である川崎汽船株式会社(“K” LINE)を親会社にもつBCSは、1989年にタイで設立され、タイ国内向けに高品質な冷凍冷蔵物流サービスと物流ソリューションを提供してきた。同社は、2023年7月に第3冷蔵庫となるBCS3を竣工した。
▲BCS3の外観
BCS3は、冷凍庫内にASRS(automated storage and retrieval systems : 保管や仕分け、集荷・ピッキングの作業を自動化する検索システム)を採用した最新型の冷凍冷蔵倉庫だ。チルド庫・定温庫には移動式ラックを採用し、搬出入作業の高速化を実現している。また、倉庫内には食品の加工が可能なプロセスルームを2ヵ所設置し、顧客からの多様なニーズに対応できる設計になっている。
▲BCS3のASRSの装置
▲BCS第3冷蔵庫内の様子
そんな最新技術が導入された冷凍冷蔵倉庫の心臓部となる冷凍設備としてマエカワの冷凍ユニット『NewTon』が採用された。
少量のアンモニアで稼働できる環境に優しいアンモニア冷媒用の高効率コンプレッサー
川崎汽船のベトナムのグループ会社CLK Cold Storage Company Limited にてマエカワのNewTonが採用されており、その優れた省エネ効果が評価され、今回のBCS3での導入が決まったという。
更に、NewTonの優れた点としてアンモニア充填量の少なさが挙げられます。弊社には、環境配慮の点からGWP(地球温暖化係数)の高い冷媒ではなく、効率が良く自然冷媒であるアンモニアを使うという方針がありました。アンモニア冷媒は安全面などから、取り扱いに気を遣う冷媒です。
現在、BCS3は176kgのアンモニア充填量で稼働しています。これは以前の設備と比べて大幅に少ないアンモニア充填量です」(BCS ウィサルット氏)
▲ BCS3に導入されているNewTon
アンモニア冷媒は単位動力あたりに得られる熱量が高い優れた冷媒だ。
地球温暖化への影響が極めて小さく、環境への負荷も最小限に抑えられる。
NewTonは、自然冷媒アンモニアでCO₂を冷却する間接冷却方式を採用している。アンモニアは機械室に設置されたユニットの中だけで循環し、冷凍庫・冷蔵庫内のユニットクーラーにはアンモニアで冷却されたCO₂が送られる。これにより、アンモニアの充填量が必要最低限の量に抑えられているのだ。
通常のアンモニア・システムのように、オイルが溶け込んだ冷媒が冷凍庫・冷蔵庫側に巡回することがないため、冷凍庫・冷蔵庫内のユニットクーラーのコイルの中にオイルが滞留しない。よって、経年劣化によってユニットクーラーの性能が落ちることなく、高い性能を維持できる。また、アンモニア漏洩による貨物へのダメージリスクがないのも、大切なお客様の荷物を保管する上で重要なポイントだ。
▲NewTonに搭載されるハーメチック型スクリューコンプレッサー
オーバーホールや各種メンテナンスをタイで実施
マエカワによる安心のアフターサービス
NewTonは、オーバーホール時にオイル交換するだけで、従来のアンモニア設備にあるようなオイル抜きの作業も必要ない。コンプレサーは、新開発のスクリューコンプレッサーで、コンプレッサーとモーターが一体化したハーメチック構造により、従来のコンプレッサーのようにメカニカルシールからの冷媒漏洩の心配がない。
アンモニアでこのようなメンテナンスフリーなシステムは、マエカワならではの技術と言えるだろう。