アユタヤ県ハイテック工業団地に工場を持つNTツールタイランドは、タイで20年以上モノづくりの基盤を支え続けてきたツーリングメーカーだ。
同社がタイで高精度な製品加工を実現できている理由の1つとして、マザックの工作機械導入が影響しているという。
今回は、NTツールタイランドでの各種マザックの工作機械の導入背景やメリットをご紹介する。
NTツールタイランドは、NCツーリング・コレットなどの旋盤やマシニングセンタ使用時に必要不可欠なツール類の製造を行っている。タイでの販売とアフターサポートを担うNTツールタイとの連携で、製販一体型の提案を実現している。
加工~焼き入れ~表面処理~梱包まで全て自社設備でワンストップで行える点に強みを持つ。
マザックとNTツールタイランドの関係が深まったのは、2011年にアユタヤで発生した大洪水がきっかけだった。当時アユタヤ地域の工場や家屋の大部分が浸水し、機械のほとんどが処分され、復旧に多大な時間を要した。NTツールタイランドも甚大な被害を被るなか、当時、機械調達などの工場の復旧支援において尽力したのがマザックタイランドであった。
現在、NTツールタイランドにはNC旋盤や複合加工機を中心に合計23台のマザックの工作機械が導入されている。
CNC旋盤はアユタヤ大洪水以前から使用しており、使いやすさや加工精度などにおいて現場スタッフからの評価も高く、復旧を皮切りに現在では工場で稼働するほとんどのCNC旋盤がマザックブランドだという。旋盤は主に加工の上流工程で活用されるため、NTツールタイランドの製品のほとんど全てがマザックの旋盤で加工されているのだ。
2012~2015年にかけて複合加工機INTEGREX J-200が計3台導入された。導入の大きな目的は工程集約と品質向上だ。
同機械は主に、HSKホルダの加工に使用している。以前は3工程に分けて加工していたため、「それぞれ段取り作業が必要となる」ことや、「ワークの掴み直しによる精度不良」が課題となっていた。
INTEGREX J-200導入後は、これら3工程を1台(1工程)で行えることで、掴み直しが要因の不良はゼロとなり品質が安定。さらに段取り変えの手間がなくなり、工数削減・サイクルタイム短縮にも貢献し、製品ロスがほとんどなくなったという。
10年以上の付き合いになるマザックタイランドに対してNTツールタイランドの長友社長は以下のように評価する。
タイでのツーリング販売会社であるNTツールタイとしては、マザック機とNT製ツーリングのセット販売も推奨している。強いパートナーシップに基づき、マザック機での機械付案件に積極的に対応。お客様の加工内容に合わせた機械、ツーリング選定をマザック機の特性に合わせ、互いのスタッフにて選定を行っているのだ。
今後、NTツールタイランドでは、リスクヘッジの観点からタイで製造できる製造ラインアップを拡大していく可能性もあるという。マザックは同社の製造を支える工作機械メーカーとして、両社の更なる強固なパートナーシップの発展が期待される。
【取材協力】 NT TOOL (THAILAND) CO., LTD.