一般的に「ロボットハンド」と聞くと“搬送”(ピックアンドプレイス)をイメージする方がほとんどかもしれません。しかし、ロボットを使った自動化ソリューションとして研磨や研削などの表面加工を簡単に行えるアタッチメントを提供しているメーカーが存在します。
今回は、研磨作業の自動化と効率化を飛躍的に推し進めるFerRobotics Compliant Robot Technology GmbH(ファーロボティクス)のロボット機器についてご紹介いたします。
押付力を自動補正し、研磨・研削作業を簡単にする
独自開発のACT技術
ファーロボティクスは2006年に創業したオーストリアのリンツに拠点を構える技術開発企業です。直感的かつ柔軟性を備えたロボット研磨装置の開発・製造・販売を行っており、世界13ヵ国に販売拠点を有しています。
ファーロボティクスのロボット機器は主に以下のような加工の自動化に貢献します。
―研磨
―研削
―バリ取り
―テーピング
―カッティング・インサート
―塗布(シーリング)
など
▲ 自動車ボディの塗装補修研磨(ポリッシング)の様子
表面加工の中でも、研磨・研削作業は、熟練技術者の感覚に依存している現場が多く、加工品質のばらつきや技術継承などの課題をよく耳にします。
同社が開発した特許取得済のアクティブコンプライアントテクノロジー(ACT)は、加工中に発生する押付力を自動補正し、ワークのソリや複雑な表面形状も一定の押付力での加工を可能にします。熟練技術なくして表面加工作業の高精度かつ効率化を叶えるソリューションです。
▲ ACT技術を用いたロボット研磨作業
ファーロボティクスの全製品に共通する特長は以下の通りです。
✔ 押付力の補正制御のレスポンスタイムが非常に速く、加工速度(ロボット速度)をあげることができるためサイクルタイムの短縮が可能。
✔ 重力による荷重補正により、 どの角度からでも均一の押付力に制御。
✔ ストローク長35mm~98mmから選択可能。ストローク範囲で常に設定押付力での加工がキープできる
✔ 押付け力 最大100N-800Nまでの製品群を揃え、高い圧力での加工も選択可能。
✔ 自動で一定押付力に補正するため、プログラムは押付力を1つ設定するのみでOK。プログラミング労力を大幅削減。(押付力の変更も可能)
自動車や航空機産業における部品加工に適した製品ラインアップ
タイおよび東南アジア地域でおすすめ製品をご紹介いたします。
■ AOKシリーズ(アクティブオービタルキット)
独自技術ACTとロボットに最適化したオービタルサンダーを統合し、精密にチューニングした研磨システムパッケージ製品です。押付力と工具の回転数を個別に制御が可能で、オービタル駆動による「表面の塗装準備(足付け作業)」「表面のコンディショニング」「磨き」などのソリューションを提供します。
<推奨用途>
AOK401/402/403:自動車ボディなどの塗装補修研磨
AOK601/501:航空機ボディなどの大型部品の塗装準備研磨
▲ AOK401、AOK402を用いた補修研磨作業
■ AAKシリーズ(アクティブアンギュラーキット)
当社独自技術のACTとロボットに最適化したアングルグラインダーを統合し、精密にチューニングした研磨システムパッケージ製品です。マテリアルリムーバル(溶接ビード除去・バリ取り・重研削等の研削用)に適しています。AAK601のグラインダは非常に耐久性が高く、標準デバイスの2倍の出力で24時間年中無休の作業が可能です。
<推奨用途例>
AAK501:ポリッシング、研削、仕上げ加工、サンディング、研磨、バリ取り工程など
AAK601:大物ワークピース向け溶接痕除去、グラインダー作業、バリ取りなど
▲ AAK501を用いた二輪タンクの溶接シーム除去作業
導入前にはデモ機を用いてお客様の実際のワークを使ったテストを行います。ファーロボティクスはタイに営業拠点も持っているため、メーカーおよび現地SIerと協力した最適なソリューションのご提供が可能です。