山田マシンツールのリクエストに応えた、日本品質の『ものづくり』
タイで各種刻印機や特殊工具を販売している山田マシンツール(タイランド)(以下、YMTT)のエンジニアリング・スーパーバイザー 半田 祐樹(はんだ ゆうき)氏は、長井技研(タイランド)の長井 徹也(ながい てつや)社長に絶大な信頼を寄せている。
そのキッカケとなったのは、YMTTがある工場で自動機の動作確認中に、重要な部品が壊れてしまったことだった。
アルミニウム製のその部品は、日本で作られた高精度で複雑な構造なもの。
部品の破損状態を見て、絶句したYMTTの半田氏は即座に思ったと言う。
「これはタイでは直せない!」
YMTTの取引先であるタイのローカル会社では修理できないし、日本に発注していては自動機の本稼働には間に合わない。
そこで、以前紹介された『長井技研(タイランド)』に打診したところ、同社では作業時間4時間ほどでその部品を修復することができたのだった。
▲長井技研(タイランド)のタイ人スタッフ作業風景①
日本の職人レベルの技術をタイ人スタッフに伝承する長井技研(タイランド)
「YMTTさんから、受け手が他にいないということで当社に仕事を依頼していただき、嬉しかった」と長井社長。「何か特別なことをしたわけではなく、図面どおりに正確に部品を修復しただけ」と謙遜する。
修復された部品は1年以上経っても壊れることなく、自動装置は現在も稼働しているそうだ。
長井社長は、同社が “図面どおりに当たり前に製作” できることの理由を次のように挙げた。
①日本の『ものづくり』の現場で技能実習を行なったタイ人スタッフが作業する
②タイ人スタッフは、日本語の専門用語を理解しており、図面が日本語で書かれていてもOK
③タイ人スタッフは、日本語で打ち合わせができる
④社風がよく、タイ人スタッフが離職しないため、高度な技術レベルが維持できる
▲長井技研(タイランド)のタイ人スタッフ作業風景②
長井技研(タイランド)は、安かろう悪かろうというイメージのタイ・ローカル会社とは一線を画す。
「当社は、現場の方に喜んでもらえる仕事をしています。図面を見てそのとおりに作ることができるので、やり直し工程が無く、短納期にも対応できます(長井社長)」
部品修復の一件以来、YMTTと長井技研(タイランド)の両社は、強い信頼関係を築いている。
長井技研は、タイで生産設備や治具で悩みを抱えている企業の強い味方になるだろう。
▲レーザー刻印機で治具の部品にQRコードを入れているYMTT半田氏(右)と長井社長(左)
▲フランス製レーザー刻印機を扱う半田氏
YMTTは、マーキングシステム(刻印機)を使ったトレーサビリティのシステム化の提案も行なう
取材協力:YAMADA Machine Tool (Thailand) Co., Ltd.