2023年に創業10周年を迎えたThai NS Solutions co., Ltd.(以下、ThaiNS)。ITユーザー出身の日系システムベンダーとしてタイの日系企業から多くの信頼と実績を築き上げてきた。
今回は、同社鈴木MDと石井GMに同社の強みと、今後の展望について語ってもらった。
▲ 事業紹介ビデオ
日系企業ならではのプロジェクト進行を熟知した
タイ人エンジニア
日鉄ソリューションズグループは「ファーストDXパートナー」というビジョンを掲げている。 世界的に企業によるDXへの取り組みが進んでいるなかで、お客様にとって1番最初に困り事を相談できるITパートナーを目指し、お客様と共に成長し続けることを意味している。
特に、タイでシステム構築や導入を進めるにあたって、日系企業が直面する障壁やギャップは少なくない。日本のシステム構築における当たり前が通用せず、苦い経験をしてきている企業も多いという。彼らの駆け込み寺的な存在として約10年間、タイの日系企業を支えてきた。
現在、社員164名のうち、約120名のエンジニアが在籍。そのうちの約90%がタイ人エンジニアである。同社のサービス品質の軸となっているのが、タイ人エンジニアの成長だ。
「これまでの10年間で最も重要視してきたことは、人材育成です。システム構築において、エンジニアは肝であり、専門的な知識や経験もさることながら、日系企業ならではのプロジェクト進捗管理やきめ細かなお客様とのコミュニケーションを重視しています。コロナの経験も踏まえて、日本人の関与を最小限にしつつも、タイ人主導で日系企業が求めるレベルのサービスが提供できるよう人材育成に注力しています。昨年度から、幹部層にタイ人スタッフを起用するようにもなりました」(鈴木MD)
<Thai NS Solutions co., Ltd.の強み>
・タイ人スタッフが日本ならではのプロジェクト管理、進め方に慣れている
・日系顧客にとっても遜色のないレベルでサービス提供できる
・全てのプロジェクトに日本人が参画し、俯瞰で管理を行っている
「タイは、既存で導入しているシステムが要因となって変革に踏み切れない現場が多いと感じています。古い既存システムは、業務・システムフローや仕様書、改修の記録が残っていないケースが多く、これら既存の仕組みを活かしながら業務に支障なく、新たにシステムに置き換えることはお客様・システムベンダー側、共に労力のかかる作業です。当社はそのような案件の実績が多い点が強みと言えます」(石井GM)
世界No.1シェアERPパッケージ『SAP』取り扱い開始
同社は、22年12月にタイローカルITソリューションプロバイダ「Round Two Solutions」(以下、Round2)との資本業務提携を発表した。
Round2は、世界No.1シェアのERPパッケージ『SAP』のタイ国内向け販売代理店であり、タイ国内でのSAP取り扱い実績も豊富なシステムインテグレータ(SIer)だ。
この業務提携によってThaiNSでもSAPの取り扱いが可能となり、さらに幅広い顧客からの需要に応えられるようになる。まずは、Round2と連携して提案を進めていくが、並行して社内のSAP専門エンジニアの育成も進めている。
創業10周年に向けて「ThaiNS品質」を確立していきたい
22年度、ThaiNSは創業以来の過去最高益を更新。タイにおけるDX推進や工場の電子化・自動化の需要に正面から取り組み、事業を拡大して来ている
「タイの製造業領域においてIT需要は益々高まっていくでしょう。ITといっても、PCやソフトウェアではなく、ロボット・センサー・5Gネットワーク・電子タグ(RFID)・AIなど、様々なデバイスやツールを連携させたソリューションが求められるようになりました。
よく、『日本品質』という言葉を耳にしますが、必ずしも日本流が正しいとは限りません。日系ならではの良い面と、タイの現場における進めやすさや、タイ人目線の良い意見を取り込んだ『ThaiNS品質』が私たちの目指す在り方です。今後ともお客様のニーズの変化やITのトレンドを押さえながら、お客様との信頼関係構築に努めていきます」(鈴木MD)