タイ国内ではこのところ、ようやくながら終息が見えつつある新型コロナウイルス(COVID-19)。とはいえ、第2波到来の可能性が消えたわけではなく、各事業者はいまだ警戒を怠ることができずにいる。
建物へ出入りする人への体温チェックはもちろん、大勢の人が集まるイベントなどに関しては特に厳重な警戒が必要な状態だ。
このような事態を受けて日系3社が共同開発し、タイで誕生した新しい自動検温・報知システムがある。
企業のみならず、すべての人に安心・安全を届ける新時代の保健衛生ソリューションとして期待される。
開発のきっかけは、『DENSO SALES』に寄せられた取引先からの疑問と相談だった。
「建物への来場者には入口で対面による体温チェックを実施しているが、それ自体が感染リスクのある対人接触ではないのか?」
「出入口に体温チェックのためだけに人員を配置しておく余裕はない」
セキュリティー事業も展開する同社が、産業・防犯用カメラメーカーの『NATURE Corporation』と、最先端の表示灯・信号灯を手がける『PATLITE』に声をかけ、新システムの開発が始まった。
さまざまな課題があったが、日系3社の知恵を結集し、克服。発案から開発まで、要したのはわずか2週間だった。
自動検温・報知システムの仕組みは、いたってシンプルだ。
体温チェック
NATURE社が提案する「IDIS」のサーマルカメラは、人体の表面温度を1~3mの距離から瞬時に測定し、誤差はわずか±0.3℃という驚くべき精度を誇る。誤検知、検査漏れを見逃さない。
すぐさま異常を報知
得られた体温データが、閾値を超える測定結果の場合、PATLITE製のネットワーク監視表示灯(NH-FV型)が直ちに異常を報知する。
来場者側には「入館せずに、そのままお待ちください」、管理者側には「入場者口を確認してください」などと光と音で同時に知らせる。
ネットワークを使うことで、離れた場所へもリアルタイムで報知が可能となり、スピーディーかつ対面リスクが最小の状態で異常を通知することができる。
■多言語対応
音声アナウンスの内容は、あらかじめMP3ファイルを登録しておくことで切り替えが可能だ。
日本語・タイ語・英語のように、複数言語で入力することもできる。
■ソフト不要・簡単に接続
ソフト開発・システムの省配線などの大がかりな設備投資は必要ない。
サーマルカメラと表示灯にあらかじめ必要なソフトが組み込まれているため、設置してすぐに利用を開始できる。
■感染リスクと検温コストを同時に削減!
サーマルカメラによる非接触の体温測定で、感染リスクを下げられると同時に、人員を配置するコストや時間をも削減することができる。本システム導入の最大のメリットだ。
3社はこの新たな自動検温・報知システムを、多数のワーカーが出入りする生産工場などをはじめ、一般のオフィス、ショッピングモールなどの商業施設、病院、学校などといった施設での利用へも広げる計画だ。
感染症そのものだけでなく、これからの経済活動や日常生活をも脅かす新型コロナウイルス(COVID-19)。
しかし、不安の中で生まれたアイデアを迷わず実行し、迅速にカタチにした3社の取り組みに今後も注目したい。
共同開発3社 代表者
PATLITE (THAILAND) CO., LTD.
鈴木 義将 Yoshimasa Suzuki / Sales Manager
DENSO SALES (THAILAND) CO., LTD.
鵜飼 俊光 Toshimitsu Ukai / Assistant Manager
NATURE Corporation (Thailand) Co., Ltd.
喜地 隼人 Hayato Kiji / Managing Director
自動検温・報知システムの詳細や、IoTを組み合わせた信号灯・情報表示機器については、お問い合わせフォームよりパトライトまでご連絡ください。