超音波洗浄機や魚群探知機など、超音波技術を使って長年さまざまな製品を開発・製造してきた本多電子は、非破壊検査装置の「超音波探傷映像装置(SAT)」をこの度、東南アジアでも販売開始しました。
2024年にマレーシアで開催されたSEMICON SEA 2024では、実機を出展しデモンストレーションを行ったところ、多くの来場者から注目を集めました。
超音波探傷映像装置(SAT)とは、超音波の反射原理を利用し、ワーク内部の欠陥(ボイド・クラック・剥離等)を検出するために使用される非破壊検査装置です。電子部品、航空機や鉄道部品など、高い信頼性が求められる部品の欠陥解析に多く使用されています。
※ワークは水槽の中に入れる必要があります。
原理:探触子(プローブ)を使用して、ワークに対し超音波を発信し、その反射波を受信します。超音波はワーク内部を伝播し、欠陥がある場所で反射して戻ってきます。
こうして読み取った反射信号は専用ソフトにより画像化され、検査者はその画像を元に欠陥の有無を評価することができます。
【超音波探傷映像装置(SAT)の特徴】
非破壊検査
対象のワークを破壊せずに内部の欠陥を検出できるため、実際の使用状態での評価が可能です。
2. 幅広い周波数帯により、さまざまな欠陥に対応
10MHz~140MHzの幅広い周波数帯から最適な周波数の探触子を選定することで、さまざまな形状、大きさの欠陥を検出することが可能です。
3. リアルタイムで検査結果を確認
超音波によるスキャンを開始すると、リアルタイムでスキャンした画像が表示されるため、すぐに検査結果を確認することが可能です。※スキャン時間はワークの大きさによって異なります。
本多電子の超音波探傷映像装置(SAT)はここが違う!
断面図を見ることで、深さ方向のどこに欠陥があるか瞬時にわかる
▲ Bスコープ(断面図)
・探触子(プローブ)を追加する
⇒スキャン範囲が広がり検査スピード・効率が向上
・水槽サイズの拡大
⇒200㎜ × 200㎜ × 100㎜の水槽をスタンダードとして、大きなサイズも対応可能
▲ 探触子(プローブ)の追加
本多電子はタイに拠点があり、些細なご相談もすぐに対応いたします
超音波探傷映像装置(SAT)の検査例|電子部品(FET/BGA)
X線との比較|超音波を利用するメリット!
非破壊検査ではX線検査装置やX線CT検査装置も候補となりますが、これらと比較し超音波探傷映像装置(SAT)では下記のようなメリットがあります。
X線装置の場合、微少な剥離やクラックはX線の透過量が変わらず検出できないことがあります。超音波装置の場合、そういった剥離やクラックでも超音波の反射により検出することが可能です。
超音波 | X線 | X線CT | |
剥離 | ◎ | ✖ | △ |
ボイド(空隙) | ◎ | 〇 | ◎ |
クラック | ◎ | △ | △ |
試料厚み 厚い | △ | 〇 | 〇 |
試料厚み 薄い | ◎ | △ | 〇 |
試料形状 制限 | 有(平面が原則) | 無 | 無 |
X線は放射線の一種であり、作業者や作業環境に対する厳格な安全管理が必要です。それに対し超音波には放射線のような健康リスクはなく、安全に使用することが可能です。
X線装置の場合、製品および運用コストが高く、CT装置になるとさらに高額です。超音波装置は、X線装置よりも低コストで導入および運用が可能です。
ベトナム・マレーシアなどの東南アジア地域での需要に期待
半導体需要が世界中で加速している昨今、多くの半導体企業がベトナム・マレーシア・シンガポール・フィリピン・タイなど東南アジア諸国に拠点を開設しています。
本年マレーシアで開催されたSEMICON SEA 2024でも多くの方が来場され、東南アジアでの半導体産業に注目が集まっています。その中で、検査工程での超音波探傷映像装置(SAT)の需要もさらに高まると期待しています。