日本のモノづくり現場へタイの若き人材供給を行なっているシンセイソリューション リクルートメント(タイランド)で、その1期生が日本への出発前の最後の研修に挑んでいる。
本来であれば7月からの着任だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で日本への入国が延期された。
このため、研修期間を延長。毎週水曜日には提携する日系の工場にも出向き、ノウハウに磨きをかける毎日を送っている。
サムットプラカーン県に本社を置く精密板金・製缶板金のいなさ(タイランド)。
6月某日、若きタイ人4人の姿があった。
いずれも今春、泰日工業大学を卒業し、4月からシンセイソリューションで研修を受けている。
この日は3班に分かれ、製品設計を行うCAD/CAM部門、実際の加工を行なう板金部門、そして品質確認のための製品検査の各部署でOJTが行なわれた。
OJTはこの日が初めてではなかったが、一様に緊張した面持ち。いなさの先輩ワーカーから手取り足取り指導を受けていた。
研修中の4人はいずれも大学で高度な教育課程を履修した技術者の卵ばかり。
高度な能力を持つ研修生が、現場のワーカーに混じって油にまみれることに抵抗はないのか。
シンセイソリューションの小林 道(わたる)MDも「実はその点が一番心配だった」と明かす。
「分業が進むタイでは、技術者がワーカーと一緒に仕事をすることはまずない。
しかし、その反動で全体像が見えにくくなるという弊害も生じている」と指摘する。
「モノがどのように作られていくかを理解しておく機会は技術者にとって必要な経験。そういった経験の積み重ねが彼らの大きな付加価値となる。」と解説した。
研修に参加した4人は、実際にどのような印象を抱いたのか。
■バンコク都出身のインクさんは、今回が3回目のCAD/CAM挑戦。
当初は初めて操作するソフトもあったそうで、若干戸惑うことも。「丁寧に教えてもらい助かりました」と話した。
■ナコーンラーチャシーマー県出身のペッチさんは、2回目の板金加工にチャレンジ。「親切に指導していただきました」と、心地よい汗をかいたと打ち明けてくれた。
■品質検査を任されたガオさんとケドさんの女性二人は、それぞれパトゥムターニー県とサムットプラカーン県の出身。ともに2回目の検査とあって、手つきも慣れた様子だった。
「正しい検査手法が身について嬉しい」(ガオさん)、「日本でもがんばりたい」(ケドさん)と話していた。
一方、工場を提供したいなさ(タイランド)では、研修の受け入れで思わぬ副次的効果があったという。
誰からともなく工場内の整理整頓や清掃を1日2回取り組むようになり、職場環境が向上したのだ。
「汚れたままの職場では恥ずかしいという意識が働いたからなのか。いずれにしても、他者への気遣いができるようになった点は、当社としても大いにメリットだった」と稲垣社長。
職場環境の改善は、モノの紛失や怪我の防止にも役立つだけに、シンセイソリューションの取り組みは今後、大いに注目を集めそうだ。
この日、研修に訪れた4人は、日本での入国許可が得られ次第、名古屋市にある総合設計会社のヒラテ技研と、静岡市にあるスクリュープレス脱水機メーカーの川口精機への入社が決まっている。
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