当社は、タイでプラスチック製品の加工に欠かせない射出成形機などの工作機械を販売しています。 近年は、タイでも環境意識が高まり、地球環境に配慮した「バイオプラスチック」が注目を集めています。 バイオプラスチックは、下記2つのプラスチックの総称です。
①バイオマスプラスチック
再生可能で、植物などのバイオマス(生物由来成分)から生成されるもの。②生分解性プラスチック
使用時は従来のプラスチックと同様の機能を果たし、使用後は微生物によって分解され、時間と共に自然界に還元される仕組みを持つもの。当社は、環境に最も優しいとされる生分解性プラスチックの成形加工技術の開発に注力しています。 2020年11月には、PTT GC(PTT グローバルケミカル)社の協賛により「バイオプラスチックと食品包装」をテーマにしたプライベートショーを開催しました。
本稿では、生分解性プラスチックの概要と、同プラスチック向けの当社の新システムをご紹介します。
▲プライベートショーの様子
多様な製品に使用できる生分解性プラスチック
生分解性プラスチックは、私たちの身近な製品にも数多く使用されています。
<生分解性プラスチックの使用例>
■PLA(ポリラクチドアシッド/ポリ乳酸)
スプーン、ナイフ、フォークといったカトラリー類、お皿、コップ、蓋付きプラカップといった食器類。その他、ごみ袋や食品包装材等。
■ PBS(ポリブチレンサクシネート)
コップなどの紙製容器、包装フィルム、パッケージフィルム等、主に使い捨て製品。
新システム「INFILT-V(インフィルト)」で タイの生分解性プラスチックの生産性を向上!
今後の使用拡大が見込まれる生分解性プラスチックですが、「溶融したときの粘度が高く、薄肉成形の加工が困難」という課題がありました。
この課題を解決すべく、当社が独自開発したのが、不活性ガス溶解射出成形システム「INFILT-V」です。 INFILT-Vは、当社のeV-LINE電動射出成形機「MSシリー ズ」に搭載するシステムです。
▲INFILT-V システムを搭載した eV-LINE 電動射出成形機 MS100
同射出成型機は、「可塑化部」と「計量・射出部」の分離構造を採用することにより安定的な精密成形を実現しました。新システム「INFILT-V」は、樹脂材料の粘土を低下させる不活性ガスを、同機の「計量・射出部」に直接注入することで、生分解性プラスチックの薄肉・深物の成形を可能にします。表面の凹凸や損傷といった問題も解決し、プラスチック射出成形の性能をより高めることに成功しました。
▲ 左:一般的な射出機で成形 右:INFILT-Vで成形
プラスチック製グラスのサンプル。どちらの成形がより高性能で精密か、一目瞭然の仕上りです!
タイ市場でも生分解性プラスチック製品の需要は益々高まります。 競合他社に先駆けて同素材に対応する射出成形機の導入をお薦めいたします。