▲プラスチック射出成形品イメージ
昨今の自動車軽量化のトレンド、世界的な半導体需要の急増などにより、高精度プラスチック加工品の需要が高まっている。
しかしながら、プラスチック射出成形は、機械スペック・加工環境・素材の種類・金型形状などの様々な要因によって品質が左右されやすく、高精度加工と安定成形を共に実現するのは容易ではない。
今回は、長年ソディックの射出成形機の開発やエンジニアリングサービスに携わってきたサービスエンジニア 折井(おりい)氏、アプリケーションエンジニア 姜(かん)氏に同社の射出成形機の強みや特長について話を伺った。
可塑と射出の工程を分離した独自技術V–LINE®
まず、一般的に射出成形とは…
・材料を溶かす(可塑化)
・金型に押し込む、流し込む(射出)
・冷やす、固める
・成型品を取り出す
の4つの大まかな工程に分かれている。
同社の射出成形機は、可塑と射出の工程を分けていることが1番の特長だ。従来、この2つの工程を同軸上で行なうインラインスクリュ方式が主流であったが、成形のバラつきや加工精度の不安定さなどに悩みを持つお客様の声を基に、それらを解決する策として各工程を分業化したV–LINE®方式(スクリュ・プランジャプリプラ方式)の独自開発に至った。
エンプラ・スーパーエンプラの安定加工を実現
可塑と射出工程を分けたことにより、以下のようなメリットが生まれる。
・可塑工程での樹脂の熱履歴が一定になり、溶けた樹脂の状態が安定
・射出時の逆流がなく、金型への樹脂充填量が均一に
このような独自技術V–LINE®方式の採用で、高精度でバラつきの少ない安定的な成形を実現した。横型MSシリーズや竪型VREシリーズなどの幅広いラインアップを揃えている。
また同機は、プラスチックの中でも今後更なる需要高が期待される高機能プラスチック群であるエンジニアリングプラスチック(エンプラ)やスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)の加工により適している。
▲ソディック製射出成形機での成形品サンプル(左からバスバー、各種自動車センサ部品)
経験豊富なエンジニアによる唯一無二のアフターサービス
「当社射出成形機は、他メーカーに比べて比較的高額な分、お客様の要望を叶える働きができる機械であると断言できます。機械スペックはもちろんのこと、購入後のアフターサービスも推奨ポイントの1つです。お客様現場でどんな問題が起きているかをいち早く把握、状況を理解し、適切な対処をすることでダウンタイムの短縮に努めています。日本人とタイ人スタッフの円滑なコミュニケーションも現場理解のための重要なポイントなんです」(サービスエンジニア折井氏)
「コロナ禍でお客様の工場や現場へ入ることが難しくなり、プロジェクトが進みずらい局面もありましたが、最近では納入後の操作レクチャーをオンラインの遠隔トレーニングに切り替えるなどして柔軟に対応しています。射出成形は機械・材料・使用環境・金型形状などの様々な要因の掛け合わせによって成形品の品質が変わってくるため、機械スペックだけでなく、私たちエンジニアの幅広い経験や知識に基づく最適解の提供が付加価値だと考えています」(アプリケーションエンジニア姜氏)
長年、東南アジアを拠点にソディックの射出成形機と深く関わってきた経験豊富な2名を主軸に、優秀なタイ人エンジニアも在籍する同社のエンジニアチーム。タイで高精度な射出成形技術を求める現場の強い味方である。