技術者目線を持ち続け、タイ工場の更なる発展と拡大を推進
2022年1月1日付でSodick (Thailand) Co., Ltd.の新社長に酒井 洋一氏が就任した。長きに亘って前任の塚本 英樹社長と共にタイ法人を支えてきた人物である。新体制を迎えるにあたって、酒井氏の考える同社の強みや、今後の展望などについて話を伺った。
自社開発にこだわり続けた技術力のソディック
酒井氏が初めて来泰したのは2003年。タイでの技術開発を目的とした技術棟設立のサポートメンバーとして赴任した。将来的にタイ工場で開発から設計、製造を一貫して行なえるようにするのがこのプロジェクトの目標であった。そして現在、タイ法人はソディックグループの中でもグローバルの中核を成す存在にまで成長し、ソディック全体の約50%もの製品がタイ工場で製造されている。
タイ工場の技術力を基盤から育てた立役者といっても過言ではない酒井氏は、同社の強みについてこう語っている。
「創業者のモットー『世の中に無いものは自分たちで創る』『お客様のものづくりに貢献する』はこれまでも、そしてこれからも我々の重要なポリシーです。私は入社から長らく技術者としてソディック製品と向き合い続けていますが、自社開発へのこだわりは他社にはない強みだと思います。
NC装置、リニアモータ、セラミックス、V-LINE®技術、モーションドライブシステムなど、約50年の歴史の中で様々な独自技術を開発し、製品に取り入れてきています」(酒井氏)
地道に開発を続けてきたそれらの技術力が認められ、2019年には形彫り放電加工機AG200Lが日刊工業新聞※ 第62回十大新製品賞 モノづくり賞を受賞した。
※日刊工業新聞:創刊100年を越える日本で唯一の工業・産業分野を専門とする全国紙
▲十大新製品賞 モノづくり賞を受賞した形彫り放電加工機『AG200L』
▲授賞式での様子
タイ・第2工場拡張で更なる生産の拡大と平準化を目指す
拡大を続けるタイ工場。日本のみならず、中国・北米・ヨーロッパ・アジア向けと、需要と共有、ともに右肩上がりで伸びている。2021年度の総生産台数は 1,786台(EDW 10機種・EDM 9機種・細穴 2機種・IMM 8機種の計29機種)。
2022年1月には、第2工場の拡張が完了した。機械加工スペースと生産設備を増強し、生産の平準化とそれに伴うQCD向上を図るのが目的だ。
▲拡張したチュムヌムサップ第2工場
「タイ工場では幅広いラインアップ製品を取り扱うのみならず、各出荷エリアごとの安全規格準拠、カスタマイズ要望にも対応しているため、かなり多品種小ロットの傾向が顕著です。そのために、生産の平準化は品質向上のためにも最優先事項というところで工場拡大に踏み切りました。今後は月産平均200台を目標としています」(酒井氏)
環境問題への取り組み
これまで同社は、ISO14000や RoHS指令を順守する形で、環境に優しいものづくりを行なってきているが、今後は以下のような活動にも力を入れていくという。
・梱包材の見直し
プラスチックの使用を減らし、梱包材にリサイクル品を採用
・第2工場に太陽光発電機設備を設置
まずは工場の電力10%生産を目標に
「2019年にThailand Energy Awards 2019※のEnergy Management Team for Designated Factory 部門で表彰を受けました。当社エンジニアの専門チームによる工場全体の電力使用量の削減プロジェクトで3年連続、電力使用量の削減が実現し、評価いただきました。本社共々、カーボンニュートラルは世界的に取り組んでいかなければならない問題として今後とも推進していきます」(酒井氏)
※Thailand Energy Awards 2019:タイ国エネルギー省が国内の環境管理、省エネ活動を表彰する制度