日本を代表する自動旋盤メーカーStar Micronics (Thailand) Co., Ltd.(以下、スター精密タイ)は、2023年11月に新たにショールームを設けた新オフィスへ移転した。
2024年7月6日には、オフィス移転とショールーム開設を記念して開所式とパーティーを執り行った。式典にはエンドユーザーやメーカー、販売代理店など20社30名超の招待客らが参列した。
本稿では、式典・パーティーのレポートに加えて、スター精密の主力製品をスイス型自動旋盤の特長や新ショールームの開設背景などについてご紹介していく。
タイを拠点にASEAN市場向けに製販一体型サービスを展開
スター精密は、日本・中国・タイの3ヵ国に生産工場を持ち、9ヵ国20拠点にグループ会社(販売拠点)を有するグローバル企業だ。スター精密タイは、2005年2月にタイを中心とした東南アジア・インド向け販売&サービス拠点として設立された。ミドルクラスからローエンドクラスまで幅広い旋盤を取り扱っている。
2012年にはナコンラチャシマ県に製造工場であるStar Micronics Manufacturing (Thailand) Co., Ltd.が設立され、現在では製販一体型の営業サポート体制が強みの1つにもなっている。
▲ コラートにある製造工場
東南アジアのハブ拠点となるタイの新ショールーム
▲ 約200㎡の新ショールーム
ショールームには、看板製品のスイス型CNC自動旋盤 『SB-20R Type G』をはじめ、各種自動旋盤の人気機種のデモ機やスペアパーツなどが豊富にそろっている。
ショールーム開設の目的について、スター精密 機械事業部長 増田氏は以下のように語った。
「タイを中心としたASEANマーケットは、弊社にとってとても重要なエリアであり、まだまだ営業活動において伸びしろがあると感じています。 新ショールームは機械の展示だけでなく、デモ加工やトレーニングなどのエンジニア教育の場としても積極的に活用していく予定です。現地販売店エンジニアの品質を上げ、ビフォー&アフターサービスを充実させることによって販売促進につなげていきたいと考えています。また、国内外からのお客様の来訪を想定して空港近くの立地を選定しました」(スター精密 増田氏)
スター精密の独創技術が詰め込まれたスイス型自動旋盤
▲ 主力製品であるスイス型CNC自動旋盤 『SB-20R Type G』
スター精密の主力製品は、スイス型自動旋盤(主軸移動型自動旋盤)と呼ばれる高精度で小型の精密部品加工に適した旋盤だ。その名は、1870年代に腕時計部品を大量に加工する機械としてスイスで考案されたことに由来する。 一般的な汎用旋盤と比較して材料のたわみを起こさずに小径部品や細長い部品を高精度に加工できる加工機械だ。なかでも、スター精密のスイス型自動旋盤は以下のような特長により、業界内でも高い支持を得ている。
■ スラント型すべり案内面構造
機械本体のベースと刃物台を傾斜(スラント)させ、摺動部をアリ溝(台形状)に加工することで、摺動面が面で接触し、機械剛性が向上。これにより、ボールネジ中心と切削点が近くなり、切削抵抗によるモーメント荷重が減少する。
■主軸筒すべり案内面構造
全長寸法が短い部品を効率的に加工するため、ガイドブッシュ装置を取り外してノンガイドブッシュ仕様を採用。主軸筒部分の外径に合わせて加工したガイドリングを使用し、主軸筒とリング案内面の隙間をなくすことで、加工負荷を切削点に近いすべり案内面で支持し、主軸台の剛性を向上させていいる。
スター精密タイには日本人を含む計7名の専門エンジニアが在籍しており、タイ現地での手厚いアフターサービスに定評がある。日本語・タイ語・英語での対応が可能で、顧客視点に立った柔軟な提案を得意としている。
タイの新ショールーム開設を皮切りに、今後ASEANエリアでの販売台数増加を目指して積極的な営業活動とアフターサービスの強化(代理店を含む現地スタッフの教育注力)に取り組んでいくという。