タイエスコープは、神鋼商事株式会社(神戸製鋼グループ)のタイ法人として、溶接材料や溶接機・ロボットの販売を行うほか、検査・IoT・自動化関連の機器も扱い、タイの広い分野のモノづくりを支えている。
2023年4月より、日本でAI × IoTを活用したサービス開発を行うLiLz(リルズ)株式会社の協業パートナーとなった。また、同年9月・11月とタイの展示会出展をサポートしたことをきっかけに、タイエスコープがLiLzの正規代理店となり、タイでのサービス展開を担うこととなった。
LiLzは、AIの研究者とエンジニアで構成されたチームで事業をスタートした。AI技術を活かせる課題を探すうち、「巡回点検が手間で困っている」という話が現場から出てきた。一日に複数回、数十分かけてメーター点検を徒歩で行っており、実は多くの現場で同様の課題を抱えていることがわかった。
LiLzは高砂熱学工業株式会社のアクセラレーションプログラムに採択され、2018年から共同開発が始まった。そして2年後の2020年6月にサービスインとなったのが、IoTカメラを使ってアナログ計器を読み取る『LiLz Gauge(リルズゲージ)』だ。
リリースから3年半を経て、日本国内ですでに約400社・約4500台が導入されている。
製鉄をはじめ、施設管理・化学プラント・ガス・上下水・食品など業界は多岐に渡る。それだけ、リモート点検ニーズは大きいのだ。
<リルズゲージの製品特長>
✓ 独自のIoTカメラで複数のアナログ計器を読み取り
✓ 1日3回の画像撮影で3年間動作(長寿命)
✓ 電源・ネットワーク工事不要ですぐ使用開始できる
✓ カメラにSIMカードが入っており、4G通信可能
✓ AIの高い読み取り精度
✓ スマホやタブレットで簡単に確認できる(オフィスや自宅から確認可能)
✓ 1社でカメラ・機械学習ともに開発しているため、価格がリーズナブル
これまで巡回点検にかかっていた手間・時間を削減し、点検作業を大幅に効率化・省力化できるのが最大の魅力だ。
リルズゲージのIoTカメラには3種類あり、設置環境や観測したい情報にあわせて選択できる。
・RGBタイプ:RGB画像で各種ゲージを定点撮影できる
・サーモタイプ:サーモグラフィでの温度観測機能搭載
・防爆タイプ:化学プラント等で使用できる本質安全防爆認証取得カメラ搭載
「タイでもIoTへの関心は高いものの、『CCTVカメラは電源が必要』『Wi-Fiは電波が途切れやすい』『スマートメーターには工事が必須』などの課題があるのが現状」と語るタイエスコープ営業平川氏。
タイにおいてリルズゲージは、既存技術との差別化が十分にできそうだ。
Lilz大西社長もタイの市場需要について、期待を感じているという。
「特にリルズゲージが効果を発揮するのは、工場やプラントなどの敷地面積が大きい現場。タイでも実際に現場の課題にフィットするのか、検証したいです。タイエスコープの力を借りながら現地ユーザーの声を取り入れて実際に課題解決できるサービスを提供していきたいと思います」