設備保全のためには設備や計器類の巡回点検が不可欠です。しかしながら、目視による巡回点検が点検者の大きな負担になっていることは間違いありません。いかに人的な負担を減らしつつ設備内のアナログな非定型情報をデジタル化し効率化を図るかーー。
この課題に応えているのが日本のLiLz社のリルズゲージとリルズガードです。保全に特化し、日常的な巡回点検を省力化する同製品の特長やメリットをご紹介しましょう。
設備保全における目視点検をリモート化するクラウドサービス
弊社は神戸製鋼グループ会社の一つである神鋼商事のタイ法人です。
鉄鋼製品や非鉄製品、溶接材料や機械装置などのほか、現場の生産性や効率を上げ、安全確保のためのメンテナンスやFA構築も手掛ける中、製造業の保全活動にさまざまな課題があることを日々、実感しています。
目視での点検を続けている現場はまだまだ多く、国交省の発行する建築保全共通仕様書をもとにLiLz社が行った調査でも全体の87%が目視頼みという結果が出ています。電源やネットワークを確保できない場所も多く、IoTの導入はあまり進んでいません。点検に割ける人員に限りがあるため日常の点検は後回しになりがちです。しかし1日1回未満の点検では判断材料としては不十分。巡回や台風等の荒天時の保全活動は負荷が高く、保全技術の伝承も滞っています。
こうした課題解決に貢献するのが、2020年6月から弊社で販売をスタートしたLiLz社の『LiLz Gauge(リルズゲージ)』。
消費電力IoTカメラと機械学習を活用して、アナログメーターなどの目視巡回点検を簡単にリモート化できるクラウドサービスです。
電源や配線、ネットワーク工事が不要ながら1日3回の撮影で3年間バッテリーが稼働します。LTE単独で動作するため新たにゲートウェイを確保する必要がありません。屋外設置も可能です。
色々な種類の計器に対応し、1つの画像から複数の計器を自動で読み取り、APIを利用して「計器の値」や「カメラが撮影した画像」などのデータを取得できます。利用中の設備管理システムなどと連携させられるのです。
点検監視が必要な非定型情報をデータ化して異常を検知
さらに、2024年10月末からはIoTとAIを組み合わせた新製品『LiLz Guard(リルズガード)』の販売も開始しました。これは、正常な画像を登録するだけで、撮影した現場画像の「いつもと違う度合い」をAIが数値化し異常を検知する機能を備えたクラウドサービスです。
■ 少量の画像データでAIモデルを構築
■ ノーコードで簡単に業務へ組み込み可能
■ 複数の異常を1つのカメラで同時に検知
■ 設備の異常レベルを数値化して管理
■ LiLz Gaugeと組み合わせて計器と設備の状態を同時に確認可能
▲リルズガード設定画面サンプル
タンク薬液漏れ、空調設備の水漏れ、ベルトコンベアの破損、災害時の設備周辺の監視など点検監視が必須な現場はたくさんありますが、こうした非定型情報は数値化が困難です。
しかし、リルズのIoTカメラで撮影し、AIで計測データをセンサー情報に組み込んで解析すれば、特定の値を超えたり、過去のデータの傾向から外れた際にアラートを発し、機械学習によって故障の発生を予測できます。
▲リルズガード管理画面サンプル。異常を画像でわかりやすく通知する。
例えば、潤滑油タンクの目視点検であれば、タンク液面の油残量やタンク内圧力、入口と出口の油温といった定型情報を数値化しデジタル化します。ルーフドレン(排水口)にリルズガードを導入すれば、落ち葉の詰まり具合を定期的に監視し、排水が滞ぐ事態を未然に防げます。
▲設備内で起こる「モレ」「詰まり」「侵入」「崩れ」などの異常を可視化する
セキュリティ面で作業員の異常行動を検知する、あるいは生産ラインにおいて不良品を検出するといったAIサービスはありますが、リルズガードは保全の目視点検に特化して開発されたAIサービス。これまで気付けなかった保全面での異常を見つけられるのは他社にない大きな利点といえます。
操作性にも優れ、シンプルに直感的に使えます。現場で働く方に伝わりやすい文言にも留意してあります。誰が使っても同じ結果が残るため、保全員の人手不足や人員がなかなか定着しないという悩みを抱える現場には最適でしょう。
すでにカメラが設置してある現場にリルズガードを後付で導入することも可能です。今までできなかった保全の課題を解消するソリューションをぜひ活用ください。