「産業用カメラや画像検査機ではオーバースペック…」
「複数台のマシンビジョンを導入する予算がない…」
「自動化が可能かをひとまず試してみたい…」
マーストーケンソリューションが開発した画像処理システム『MoMaVi(モマヴィ)』は、あらゆる検査における様々な悩みをローコストで解決する。
本稿では、MoMaViの特長とメーカーの想定を超えた斬新な活用方法を紹介する。
シンプル・手軽・ローコスト!
画像処理システム『MoMaVi』とは?
MoMaViは、スマートフォンを活用して精密部品の各種検査や物の数量のカウントなどができる画像処理システムだ。
機械化することで目視によるご検知や検査漏れをなくす目的はもちろんのこと、特筆すべきは「画像検査機」「産業用カメラ」「専用照明」などの高価な設備を導入せずとも、スマートフォンのカメラを使ったシンプルな機器構成であらゆる画像処理をローコストで実現することだ。
<MoMaViではこんなことが検査できます>
■有無調査 : あるべきものの有無を検査する
■色順検査 : 色違いのパーツの順番を確認する
■数量のカウント: 箱やパレットの中にあるモノを数える
■パターン検査: ロゴなどの印刷の欠損や位置を確認する
■形状検査: 樹脂や金属部品の形状を検査する
■広いエリアの検査: MoMaViは1台のカメラで広い範囲を検査できる
この他にも「色数のカウント」「表面検査」など、アイデア次第で様々な検査に活用できる。
液体の粘度測定に活用したタイでの導入事例
測定からデータ管理までを自動化!
以下に紹介するのは、従来ならば目視で行うか高価な専用機を使うしかなかった検査を、MoMaViが担えることを証明した事例だ。
日本の化学メーカー 三洋化成工業株式会社のタイ法人 SANYO KASEI (THAILAND) LTD., は、MoMaViを使った液体の粘度測定システムを導入した。
<液体の粘度測定>
恒温槽にセットした検査対象(液体)の水面が、上の線から下の線まで落ちる時間を計測して、粘度を計算する。
【Before】
水面が上の線と下の線を通過する瞬間を目視で確認し、ストップウォッチを使って計測していた。
<従来の測定方法が抱えていた課題>
・測定結果にバラつきが発生する
・測定中は別の作業に集中できない
・失敗すると始めからやり直しになる
・測定から粘度計算を含めて手間と時間がかかる
・専用の粘度測定装置は高額
【After】
MoMaviを導入。スマートフォンのカメラを使って判定し、
自動的に測定を開始〜終了することによって以下のようなメリットがうまれた。
▲MoMaviを活用した液体の粘度測定ソリューション
◎測定結果にバラつきが一切発生しない
0.001秒単位で機械的に開始〜終了の判定をする。
誰がやっても、何度やっても、同じ結果が得られるようになった。
◎測定中に別の作業ができる & 心配が無用に
測定開始ボタンを押したあとは、一連の作業をMoMaViに任せることができる。終了時間を気にせず別の仕事を並行して行うことができる上に、やり直しになることもなくなり、劇的に作業効率がアップした。
◎自動で粘度計算 & データ管理
電卓で何度も計算して、入念に確認する手間と時間がゼロに。
MoMaViが粘度を算出したあとは、LIMS(実験室情報管理システム)へのデータ送信やCOA(試験成績書)発行まで自動で行う。
MoMaViとデータ管理システムを連携させることで、さらなる業務効率化を達成した。
▲画像判別でどれくらいの時間で液体が流れたかをスマホで計測できる
三洋化成工業 × マーストーケン
タイで独自の挑戦をつづける
同社のLIMSはFreewill-Mars Tohken Co., Ltd.が手がけており、以前からタイ法人同士の付き合いがあった。
「島さんからMoMaViの開発コンセプトを聞いて、粘度測定に使えないかと思いつきました。私たち化学メーカーの仕事は、信頼性が何よりも重要です。一方で、人間はミスをするものです。ただ分析をミスをすると顧客の信頼を失いますし、ミスした本人も落ち込み、その姿をこれまで幾度と見てきました。分析を失敗した個人を責めることのないよう管理者は努めるべきですので、MoMaViによる改善効果には心から満足しており、新しく開発したシステムによる効果は、グループ会社で共有しています。本件の実績を踏まえて、新製品の検査にも採用予定です。
今後もマーストーケンには、当社の事業発展に貢献するような先進的なソリューションを提供してくれることを期待しています」
<SANYO KASEI (THAILAND) LTD. 三橋氏>
取材協力:SANYO KASEI (THAILAND) LTD.