製品の形状や材料に関わらず、ほとんどの部品加工において行われている「面取り加工」。
他の加工に比べて作業の割合が少ない分、地味なイメージを持つ方も少なからずいるかもしれません。しかし、面取り加工を見直すことは製造効率の改善に大きな効果をもたらします。特にベトナムで多い量産加工現場にはぜひ検討いただきたいトピックスです。
今回は、業界内でもセンタードリル類に定評があり、独自の技術力と着眼点で面取り加工の高速化を実現したイワタツールの面取り工具についてご紹介していきます。
国産小径工具・センタードリルのパイオニア企業
イワタツールは1928年に日本で創業し、初めてセンタードリルの国産化に成功した老舗工具メーカーです。小径特殊工具とセンタードリルの領域に絞った技術開発に注力しており、他メーカーとは一線を画す、工具業界でも独自のポジションを確立しています。
▲ イワタツールの代表工具 センタードリル
他社と被らない独自の製品ラインアップは、モノづくり現場の課題解決に直結する機能性の高い工具が豊富で、現場からの支持も高いのが特長です。
5・9枚刃仕様によりバリが少なく長寿命
高速&精密な面取り加工が可能
面取り工具「トグロン®マルチチャンファーシリーズ」はトグロン形状の5枚刃・9枚刃仕様の工具で、バリを抑えながらも精密で高速な面取り加工を可能とした画期的な工具です。日系メーカーで5枚刃の面取り工具を取り扱っているのはイワタツールだけです。
日本語の“とぐろを巻く”に由来する造語で、渦巻き状の独特な刃先形状を表す。面取り工具の他に、ドリルやリーマーなどのラインナップがある。イワタツールの商標登録製品。
【トグロン®マルチチャンファーシリーズ 主な特長】
●面取りスピードを高速化
一般的な面取り工具に比べて3~7倍の速度で加工できる
●多枚刃設計により、長寿命
●バリが少ない
手で触れてもわからないレベルまで微細
●切れ味、切削性が良い
【製品ラインアップ】
・5Zノンコート
・ALTコーティング
・DLCコーティング
【刃数の違いによる特長】
5枚刃:削れる範囲が幅広いので汎用性が高い
9枚刃:とにかく面取り加工のスピードが早い
▲ トグロン®マルチチャンファーでの加工例
一般的に面取り加工は切削の中でもお金になりにくい工程なので、「とにかく加工時間を短縮したい」というお客様の課題を解決するために製品化しました。一般的に面取り工具は多機能な製品が多いですが、量産加工現場では1本の工具でそこまで多くの機能を使用しないといった声もいただいていました。そういった現場の需要に応えるため、あえて面取りのみにしぼり、機能をそぎ落としています。故に、多枚刃仕様ながらも価格を抑えることができているのです(イワタツール 岩田社長)
ベトナムに在庫センター開設
イワタツールは中国(販売)とタイ(製造&販売)に海外拠点をもっていましたが、2023年4月にベトナム・ハノイに在庫センターを開設し、ベトナム国内に在庫を用意できるようになりました。従来品に加えて微細加工工具やタイ製造オリジナル製品などのスムーズな供給体制が整い、より短納期でのご提供を実現しています。
ウエノベトナムでは、工具の販売のみならず、用途にあわせた適切な工具の選定や使用環境のアドバイスなどもイワタツールと連携してご提案しております。
面取り加工に課題をお持ちのお客様はまずはお気軽にご相談くださいませ。
【取材協力】