近年、広く認知されるようになった「トレーサビリティ」。前編では、その概念などについてお伝えしました。後編となる今回は、識別記号を使ったトレーサビリティの情報伝達や、ダイレクトパーツマーキングといった新たな手法、「トレースバック」「トレースフォワード」について、さらには、導入後の流れなど、より詳しい内容をお届けします。
前回のニュースでは、製品が「いつ・どこで・誰が(誰によって)、製造したかを追跡する」というトレーサビリティの概念や、日本でトレーサビリティが広まったきっかけなどをお伝えしました。
今回はトレーサビリティの運用などについて、詳しく説明していきます。
トレーサビリティによって、製品や製造上の問題、その原因を追跡する際に「カギ」となるのが製品および、該当製品の使用部品などに関する“情報”です。入荷先や製造日時、生産ライン、出荷先などの適切な情報が記録・保存されていることが重要となります。
必要な情報は、バーコードや二次元コード(QRコード、DataMatrix、MaxiCode、PDF417など)といった識別記号を用いて伝達。バーコードは記録できる情報が数十字程度と限られており、現在は、最大で3,000文字程度の情報を記録でき、印字面積も数十分の一となる二次元コードが主流です。
(左から)バーコード、QRコード、PDF417
部品や製品に、シリアル番号や、バーコードなどのラベルを貼るスペースが無い場合にはどうするか?その際に活用されているのが、ダイレクトパーツマーキング(Direct Parts Marking:DPM)です。ダイレクトパーツマーキングは、レーザーマーカーやドットピンを使い、部品や製品に直接印刷・刻印する手法で、今やトレーサビリティには欠かせない手法となっています。
トレーサビリティには「トレースバック(遡及)」と「トレースフォワード(追跡)」があります。トレースバックは製品などの流通履歴を時系列に遡って記録をたどること、トレースフォワードは時間経過に沿って追跡することを指します。
製造・出荷した製品に問題が発生した場合でも、適切にトレースバックできる環境を整えておけば、影響のあるロットや工程が特定でき、原因をいち早く突き止められます。ロットや工程が特定できれば、直ちに工程や品質の見直し・改善が可能になり、品質の向上や安定につなげることができます。また、この情報を消費者や使用者に情報を開示することは、安心を提供し、流通の信頼性向上に寄与します。
ある部品で不良が判明した場合、トレースフォワードによって該当の部品が使用されている製品を特定、ピンポイントで製品回収が可能になります。リコールおよび、不良品の対象を特定することによる物理的コストと、事態の収拾を早めることによる時間的コストの両面で大きな効果を発揮します。
製造現場において、トレーサビリティはどの様に導入・運用されているか、標準的な製造工程を例に説明しましょう。
トレーサビリティは以上のように導入・運用していきます。
また、トレーサビリティは正しく運用していけば、品質管理の面だけでなく部品管理にも貢献しますので、特に、独立系の部品メーカー様には役立つことでしょう。
タイでの現状に目を向けますと、残念ながら、トレーサビリティの概念・導入・運用方法などを理解している方が少ないのが実情です。
トレーサビリティの導入には、全体の構想・設計から機器の選定までを担当者個人で調査・検討が必要なため非常に時間を要します。また、各機器メーカー様では自社製品のみの対応となるため、「マーキング装置」「リーダー」「エンジニアリング」の統合ができず、適切なコストで安定稼働するシステムの構築は困難です。さらには、稼働後のトラブル対応にも遅延の不安が残ります。
刻印機の専門メーカー・商社である当社は、あらゆる種類のマーキング機器を取り扱っております。そして、リーダーメーカー、ソフトウェア開発者とのアライアンスにより、マーキング・読み取りの装置製作から、情報管理システムまでを含めワンストップで対応。ワークの材質、サイクルタイムなど、お客様の環境に合わせた「確実」「シンプル」「リーズナブル」なシステムを提案いたします。もちろん、稼働後の仕様追加や不具合などの対応にも、スムーズにお応えします。
皆様からのお問い合わせを心よりお待ちいたしております。
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