山田マシンツールが取り扱う、「ALCOOL(アルクール)」と「ViruClear(ウィルクリア)」。
前者はpH12.5という強アルカリイオン水を生成し、主に工場の部品洗浄に使用される装置。
後者は食品加工工場や医療介護現場などへの設置を想定し、200ppmの有効塩素濃度でバクテリアやウイルスを強力に除菌する次亜塩素酸水を生成する装置だ。
この特長的な2つの水を活用し、タイの飲食店の「衛生環境の改善」と「清掃除染作業の省力化」を促進するための検証が山田マシンツール社屋で行なわれた。
ビルメンテナンスのホーメックスとの協業で、タイの飲食業界に新風を巻き起こす!?
ホーメックス(HOMEX)は、愛知県豊田市にある総合ビルメンテナンス会社だ。
2013年にタイに進出し、バンコクで現地法人「HBS(ホーメックス ビジネス サービス)」を設立した。
MDの橋口 耕平氏は、「ホーメックスの取引先が多数タイに進出しており、当社もお役に立てると考えた」とタイ進出の経緯を語る。
タイでの主な業務はオフィスの清掃、タイ人のメイド・ガーディナーの派遣だ。
バンコク、アマタナコン、アマタシティーなど広域をカバーしている。
日本の本社が、総合ビルメンテナンスの会社として清掃や厨房衛生管理、ペストコントロール、B-ST施工などを行なっているため、タイでもそのノウハウを活かしている。
一方、山田マシンツールは、先述のALCOOLとViruClearを工業用途だけではなく、他業界にも普及させたいと考えている。
「例えば、タイの食品メーカーがALCOOLとViruClearの性能に興味を持っている。ALCOOLで生成されるpH12.5の電解水は、タンパク汚れや脂肪汚れを強力に分解洗浄する反面、洗剤のような化学物質を殆ど含まないので、入念なすすぎを必要とせず人体にも安全である。
一方、ViruClearで生成される次亜塩素酸水は、食品を扱う調理器具や食材に使用できる品質の除菌水で、新型コロナやノロウイルス等、幅広いウィルスやバクテリアに有効でありながら人体にも環境にも優しい。これをレストランなどの飲食業界でも使ってもらえないか試案していた。」と山田マシンツールの山田 晴久社長。
「タンパクや脂肪の汚れは、お湯で洗い流しても十分に落とすことができない。中性洗剤を使って洗浄しても、タンパク・脂肪をしっかりと落とすことは難しい。この状態でアルコールや次亜塩素酸系の薬液を使用し調理場や器具等を除菌しても、表層部の除菌に留まり、汚れ内部の菌は残り、増殖する。当社の装置で生成される強アルカリイオン水はそのタンパク・脂肪といった有機汚れを驚くほど強力に分解する能力がある。(山田)」
「また、次亜塩素酸水は同一塩素濃度の次亜塩素酸ナトリウム(キッチン漂白剤)の実に80倍の除菌能力があり、次亜塩素酸ナトリウムが効きづらい新型コロナ等のエンベロープ型ウイルスおよびアルコールが効きづらいノロウイルス等の非エンベロープ型ウイルスの両方に対して、万能かつ強力な除菌効果を発揮する。(山田)」
山田 晴久氏/山田マシンツール社長(右)
タイ飲食業界の衛生管理を改善するために両社ができること
両社と取り引きのある会社の仲立ちで、HBSと山田マシンツールの協業が始まったのは2020年5月。山田マシンツールとHBSの共通の目標は、タイの飲食店の衛生管理をより良いものにすることだ。
「飲食店では、例えばゴキブリが出てからでは遅い。SNSが発達している今の時代、ゴキブリやネズミ、食中毒の発生は店の存続に関わる。毎日ちゃんとゴミを片付ける、汚くなる前にキレイにする、という考え方がタイではまだ浸透していない。(橋口)」
「強アルカリイオン水でタンパク汚れを落とし、次亜塩素酸水で除菌するという組み合わせは、飲食業界でも有効なはず。今までは工業用としてしかアピールしてこなかったが、HBSと協業することで、当社製品をタイのレストランなどの掃除や除菌に使っていただける。(山田)」
ALCOOLの強アルカイオン水で、菌の温床となるタンパク汚れ・脂肪汚れを強力に溶解洗浄。さらにViruClearの次亜塩素酸水で除菌する。食材を扱う飲食店の衛生管理において、洗剤も入念なすすぎが不要で、洗浄除菌能力が向上するならば、使わない手はないだろう。
2020年8月某日。
この日は、ALCOOLを使った脂(あぶら)汚れの洗浄実験が山田マシンツール社屋で行なわれた。
実験用に某焼き肉店から使用後の脂が焦げ付いたままの焼き網を拝借し、ALCOOLで作った強アルカリイオン水に浸ける。
結果はいかに?
▲焼肉店の使用後焼き網
▲真剣な面持ちで焼き網を見守る橋口GM
結果はというと、焼き網の脂汚れは、ALCOOLに浸けおき(10分と20分の二つ)+ブラシで擦ることで落とすことができた。
洗剤や研磨剤は使われていない。
▲ALCOOLに浸けて擦っただけで、確実に脂汚れは落ちていた
後日、山田社長の元へ、実験に協力してくれた焼肉店の評価がもたらされた。
「比較的新しい網の脂汚れは、非常に良く落ちている。」
「強アルカリイオン水の使用に関心があり引き続き検討したい。」
「新しい網の状態からALCOOLで洗浄すれば、洗浄の時間と労力が軽減され、網への焦げの固着も防げる目処が立った。(山田)」
橋口MDと山田社長のビジョンは、洗剤不要のALCOOLと強力除菌のViruClearで、タイの飲食店の衛生管理と省力化に貢献していくこと。
その実現に向けて、妥協なき改善が続く。
取材協力
■プロフィール
橋口 耕平 / Managing Director
1976年生まれ
「コロナ禍の中、困っている方々のお手伝いができればと思っています」
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