大型ロボット溶接設備をタイで設計から製造まで4ヵ月で納品!
驚愕の短納期を実現したYMTTのFA事業の秘密とは?
29/10/2024
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サムライアジア編集部


ツーリング工具や刻印機などの特殊工具、環境改善商材などを取り扱う山田マシンツールタイランド(以下、YMTT)。彼らが得意とするのは特殊品の販売だけではない。
約10年前から自動化(FA)設備構築の事業にも力をいれており、着実に実績を増やしてきていた。そして2024年、同社が手掛けた自動化設備のなかでも最大規模となる巨大な自動溶接設備を4ヵ月もの短納期で納品するプロジェクトを成し遂げた。
今回は、その自動溶接設備の全容とYMTTのFA事業の強みについて紹介していく。


設備エンジニア人材の育成に乗り出した背景

YMTTは10年ほど前からFA事業の構築を始めた。同事業に参入した理由には訳があった―。

”チャイナプラスワン”の動きが活発だった2012年前後のタイでは、FA技術の分野において異なるタイプの設備技術業者がしのぎを削っていた。
①タイローカル企業、②自動化や省力化を得意とするタイ進出した日系中小企業、③タイで古くから設備事業を行うローカル化した日系企業の3分類だ。
中でも、日本品質をうたいながらも圧倒的な低価格と無理の利く対応を実現していた③のローカル化した日系企業に仕事が集中し、②の日系中小企業は次々と撤退していった。
以降、知識や経験を持つ設備技術者が育つ環境がなくなり、需要が集中していたローカル化した日系企業も高齢化が進み、後継者が育たず、人材不足が顕著になったという。

YMTTはそういった将来的なFA業界の人材問題を見越し、いち早く生産技術エンジニア人材の育成に取り掛かっていた。

FA 自動化設備 山田マシンツール タイ

▲ YMTTが手掛けたFA設備実績 一例


全長100メートルの大型自動溶接設備を手掛ける

新型コロナの終焉とともにタイのモノづくりが復活をし始めた2023年。YMTTに大きな設備構築の相談が舞い込んだ。

【導入設備概要】
自動車部品(トラックフレーム)の溶接加工ライン。
全28工程、合計42台の溶接ロボットが設置されている全長100mもの大型設備。顧客の発注から4ヵ月で設計検討、製作、納品までワンストップで対応。

FA 自動化設備 山田マシンツール タイ

FA 自動化設備 山田マシンツール タイ

FA 自動化設備 山田マシンツール タイ

発注先は、世界に名だたる日系自動車メーカーを頂点とするティア2企業。すでにタイで稼働する溶接ラインと同じものを、もう一つ新たに設置したいという要望だった。
顧客の計画立案時点で、ここまで大規模な生産設備を実質4ヵ月という短納期で納入に漕ぎ着けることができる企業はタイではほとんどなかった。


50名の精鋭エンジニアが集結

同プロジェクトには総勢約50名のエンジニアが参加した。YMTTがこれまでのFA事業を通じてタイで構築してきた設備エンジニアのネットワークを駆使し、日系・ローカル、多様な層から設備技術の精鋭エンジニアたちが集められた。彼らを取りまとめたのはYMTTのエンジニア半田氏だ。プロジェクト成功の秘訣について以下のように語る。

「参加したエンジニアたちはそれぞれ優れた技術や知識を持つ熟練のスタッフばかりでしたが、今回は特に個々の技術力よりもチームワークを重視しました。組織として目標設定を明確にし、スタッフ一人一人が前向きなモチベーションを保てるよう、意思疎通とコミュニケーションを緻密に行いました。組織全体で目線をあげてプロジェクトに取り組めたことが成功の秘訣です」(半田氏)


成功のカギは人的資源と事業継続性

山田社長は、次なる設備需要の到来に備える必要性を痛感している。

「現在はまだ市況は冷め切ったままですが、いずれそう遠くない時期に景気は回復し、生産ラインの増設などの設備需要が急増し、FAエンジニアリングサービスの供給が追いつかなくなる時代が必ず訪れるはずです。
今回のプロジェクトは、弊社の独自ネットワークを駆使し、良質な設備技術人材を短期間で束ねられたことがポイントです。また、これまでFA事業として慎重に仕事を選んで実績を積み重ねてきたことも重要だと感じています。設備事業は資金繰りなどを含めてリスクが高いため、やみくもに仕事を受けず、顧客との信頼関係構築も含めて1案件ずつ丁寧に進めてきました」(山田社長)

さらに、山田社長はFA事業において「事業継続性」を重要視している。YMTTの事業継続性を担保するものが工具や環境機器販売などの商社事業であり、営業の内谷氏が屋台骨を支えているのだ。

「FA事業が拡大できている前提として、弊社の主事業である製品販売の商社業務が安定し、資金基盤となっていることが挙げられます。これは、弊社FA事業の継続性に直結し、商社事業の存在は欠かすことができません。また、設備構築は中長期なプロジェクトが多く、納入後のアフターサポートも重要です。そういった意味で、お客様に安心して設備を任せてもらうためにも事業継続性を常に意識しています」(山田社長)

【YMTT FA事業の強み】
✓ 技術力 ✓ 人材力 ✓ 継続性

小規模企業体ながらも、大企業に匹敵するかのようなYMTTの取り組み。コロナ禍からの復活を目指すタイのモノづくりは新たな局面を迎えている。その中で、独自ネットワークや人的資源を結集してこれからの設備需要に応えていこうとするYMTTの試みは、無限の可能性を秘めていると言える。

FA 自動化設備 山田マシンツール タイ

▲ 左から、山田マシンツールタイランド山田社長・半田氏


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