今こそ日本の高付加価値精密加工の再興を!
複雑形状加工の全工程を1台で完結する究極の工程集約「SMAP工法」
29/10/2024
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山田 晴久President


終戦で独自の要素技術を失った日本は、戦後から高度成長期にかけて生産技術力でモノづくりを再興してきた国でした。 しかしながら昨今では、第一線で研鑽を積んだ人材が高齢化するとともに最終就労地である海外に残留する事例も多く、反面国内ではデフレ環境や過度なリスク回避をもたらす管理型経営への偏重などの要因から日系企業の生産技術への理解はより一層乏しくなっているといえます。
現在、多くの日系モノづくり企業において失敗が許されない、トライアンドエラーができない環境が見受けられます。このまま生産技術の分野が行き詰まり続けると、日本が得意としていた量産技術の発展は無くなってしまうでしょう。

本稿では、そんな日本のモノづくり市場に警鐘を鳴らすべく、山田マシンツールがグループを挙げて提唱している究極の工程集約『SMAP工法+FA』についてご紹介させていただきます。


生産技術がないがしろになった末路と現実

昨今の日本のモノづくりにおいて生産技術力が低迷することにより、以下2点の問題が顕在化してきております。

1) 新規開発要素技術の量産化への落とし込みが進まない
2) 既存量産技術の革新がなされず、新興国企業に容易にコピー&キャッチアップされる


ものづくり企業が決算書上の付加価値や投資効率を過度に優先するトレンドの中で生産拠点の世界中への進出が加速するとともに、逆に国内の生産が空洞化した結果、国内に生産技術的な実験をする場と予算がなくなってしまいました。
特に2010年代以降は、最新のテクノロジーを駆使した改革的な生産方式の見直し等は、世界に散らばった生産拠点に対しても画一的に適用しなければいけないという増幅リスクも鑑みて避けられる傾向にありました。その結果、一定の不良やムダを容認したまま既存の生産方式を維持したうえでサプライチェーン一体となった「改善」を積み重ねるのが精一杯の状況が長らくつづきました。

以下は、その様な環境の中で私達が実際に直面した課題とその解決事例です。

事例1 内燃機関用部品

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内燃機関部品においては、燃費向上のための燃料噴射の高圧化を背景に部品の形状、素材、品質レベルの難度がモデルチェンジごとに増し、これまでの生産方式への改善では追いつかず、不良も増加していく傾向にありました。
その様な中、最新の工作機械をベースに当社ツールを積極的にご採用いただいた弊社ユーザー様がSMAP工法の採用によって、これまでの生産方式に対して歩留りが劇的に向上し、コストも40%削減されるという事例がありました。
また、このノウハウは更なる高気密化が要求される水素燃焼エンジン用部品の量産試作にも活用されています。

事例2 半導体・電子デバイス関連部品

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新たに開発に成功した製品の膨大な生産需要が発生し、部品についても量産が急務となったが新規技術要素が多く盛り込まれた部品は加工難度が高く、これまでの手法では不良が多く量産が難しい状況でした。しかしながら、業界として徹底したコスト低減が常識となっているが故に、工法開発(生産技術)に対して投資が許されない環境にあり手詰まり状態でした。

そこで、試作段階から当社ツールを積極的にご採用いただいたお客様がSMAP工法にてトライしたところ、不良がほぼゼロ化したうえに1個あたりの製作時間も既存工法の半分以下となりました。

上記以外にも、メディカル、ドローンやロボットなど様々な先端技術分野の部品で、当社提唱のSMAP工法が革新的な生産性の向上によって品質・コスト・デリバリーの諸課題を解決しています。


全工程を1台に集約!複雑形状部品の加工において圧倒的な生産性での量産を実現

このような部品形状の複雑化&復合化や、生産技術人材の深刻な不足への解決策として、弊社では製造工法『SMAP工法+FA』を推奨しています。

究極の工程集約『SMAP工法+FA 』とは?
Single Machine All Processing+Factory Automation の略称で、1台の機械で特殊加工を含めた全加工工程を完結させ、工程間で発生する不良や仕掛在庫、労務を削減することで生産性を極限まで高める工法。また、後工程をFAにて自動化することで、加工から検査、出荷までを無人化可能。

SMAP工法では、特殊な加工を機内に取り込むために必要な特殊工具類への投資が発生するものの、既存工法と比較した場合、品質・生産効率・コストの全てで革新的なメリットを実現いたします。
中間検査、仕掛在庫、工程専従人員が不要となった同工法にて完成品となった部品は最終工程での検査も簡素化できることから、部品製造コスト(コストパーピース)も圧倒的に低減できるだけでなく、FAによる自動化も導入しやすくなります。これにより、出荷状態までの全工程を無人化することで、高精度な部品の大量生産が可能になります。
さらに、汎用CNCベースの同仕様設備を複数セット稼働させることは生産量の増減に応じた柔軟な設備の割り振りを可能にし、資産とスペースの効率的な運用を可能にします。

▲ SMAP工法を採用した実際の加工設備 一例

▲ 後工程+検査の自動化装置 一例

【SMAP工法のメリット】
✔ 高難度精密部品が高い歩留りで生産可能となる
✔ 労働人口問題、国際的な賃金競争の影響を受けない(世界中どこで作っても変わらない)
✔ 後工程の FA化を採用した場合には、生産実績・品質情報の常時リモート管理が可能(DX)


日本の産業競争力向上のために、生産技術の再興は急務

私たちはSMAP工法の普及を通じて、日本の生産技術および高付加価値精密加工の再興に貢献したいという志を抱いています。特に、日本の中小企業に高付加価値のモノづくり技術を残すといった観点でこの工法をうまく活用していただきたいと考えています。
これ以上、日本および日系企業の生産技術能力の停滞を放置すると、日本のモノづくり技術の発展が頭打ちになるだけでなく、世界のモノづくりが解決できない課題で行き詰まってしまいかねません。
『SMAP工法+FA』の普及と仲間づくりを通して、精密部品加工業界における次世代の生産技術人材を育む土壌を確保し、日本のモノづくり市場および中小モノづくり企業の発展に少しでも貢献できるよう、普及活動を続けていく所存です。

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