Vol.1では、工具の表面処理・刃先加工の重要性とマグネットフィニッシュの切削工具表面処理装置をご紹介しました。
Vol.2では、大型切削工具向きの湿式ブラスト装置と、複雑形状の金属加工部品向きのバレル研磨機をご紹介します。
高級切削工具の高精度な表面処理に!
GRAF 湿式ブラスト装置
ドライ式サンドブラストに対して、ウェット式(湿式)ブラストはメディアにコンパウンドという液体を混ぜ込んで吹き付けて磨く装置です。
処理後はワークが濡れるため、錆防止のために水分を拭き取る必要があり乾式より手間がかかる一方で、湿式の方が処理性能は圧倒的に高く、より滑らかな表面に仕上がります。
▲加工表面比較イメージ
特に湿式が向くのは、ホブやブローチなどのいわゆる高級切削工具です。ドリルやエンドミルに比べてサイズが大きく、径が太く、凸凹の差も大きいため、ドライ式に比べてウェット(湿式)の方がしっかりと吹き付けが届き、より表面がきれいになるのです。
▲ホブやブローチなどの大きい工具の表面処理に最適。
ドリル、エンドミル等棒物工具用の連続搬送装置を用意。
さらに、GRAF湿式ブラスト装置 Compactシリーズは、工具の自転公転回転制御により、自動処理が可能です。従来サンドブラストでは人が手で対象物を持って箱に入れ、ガンノズルを人手で操作していました。この装置では、工具の形状に応じてノズルが自動で追随し、最適な角度や距離での表面処理が可能です。
▲角度調整機能付きのブラストガンを4式搭載
Graf Cleaning Systems
ウェットブラスト装置の専門のドイツメーカー。 表面処理はメディアとコンパウンドの組み合わせノウハウがコアになるが、グラフはこの分野で豊富な実績・経験値を持つ。
複雑な金属加工部品の表面処理に最適
ワルサートローバル バレル研磨機
表面処理の中でもバレル研磨は、メディアが窯の中にあり、そこにワークを入れて回転させて表面を磨くという手法です。同社のバレル研磨機 M-TMDシリーズは、高速の自転・公転でバリ取り、R成形、鏡面処理など多様な表面仕上げに対応します。
中でも、マシニングセンタなどで加工された機械部品が特に効果的なワーク対象として考えられます。高速回転する中で、自動的に部品の内部にもメディアが入っていって磨いてくれるため、自動車のエンジンブロックやトランスミッションなど複雑な金属加工部品の表面処理に向いています。
▲M-TMDドラッグフィニッシュバレル研磨機
<用途例>
・自動車のエンジンブロックやトランスミッション
・タービンブレード(航空機部品)
・船舶用スクリュープロペラ
・切削工具
など
Walter Trowal LLC
1931年にドイツで創業した金属表面処理技術のリーディングカンパニー
前後編にわたって、3つの異なる特長をもつ表面処理加工装置をご紹介してきました。 YKTでは、それぞれ装置のさらに詳しいスペックや型番のご提案、加工状況に合わせたご提案が可能です。工具や部品にさらなる付加価値を付ける工程として、ぜひご検討ください。