今回のテーマは、製造拠点の付加価値向上から「組織の永続性」に向けた「継続的な業績の向上」と「組織・人材育成」の両立について。今号と次号の2回に分けて、考察していきます。
タイにおいて、特に日系製造業にとっては、進出後に様々な経験を積み、第一世代のタイ人社員が定年退職の時期を迎え始め、また日本人出向者の削減圧力も限りなくあることから、現地化の促進は佳境に入ってきています。この「現地化最終段階」ともいえる状況を捉え、企業の永続性について、組織文化の側面から考えていきましょう。
今、世界中の競技団体やチームが「Winning Culture(勝ち続ける文化)」の研究にしのぎを削っているといわれています。例えばサッカーの常勝クラブ、スペインのFCバルセロナ(過去10年の優勝回数が7回)では、16ある育成チームからトップチーム、コーチ、フロント、スタッフに至るまで、全員が共有する約束事があります。例えば、「控えも裏方も、皆が同じ気持ちで試合に臨む」「ボールは100%キープして当たり前」 等で、これらの約束事が守られるよう、教育や練習のロジックが組み立てられているのです。
問題発生時は、暫定対策と恒久対策の両方が大切ですが、恒久対策としての問題解決力を醸成する教育と実践サポートがなされているだろうか? 何が本当の問題か? 過去に類似問題はなかったか? 他のラインでは発生していないのか? 類似部品ではどうなのか? 等々、問題の理解と現状把握こそが真因追究の要であることが社員の共通認識となっているかどうか? 直接部門だけでなく間接部門、さらには人事や総務、経理部門にまで共有されているだろうか? 職場の足元を一度見つめてみると良いのかもしれません。
躍進が途絶えないグーグルでは、日々の組織運営に「Winning Culture」という言葉が明確に存在し、文化の醸成を担う「Chief of Culture Officer(最高文化責任者)」というポストが、常設されているそうです。
タイ拠点の永続性を左右するポイントの一つは、価値観や考え方、仕事のやり方を「“うちの拠点の文化”として昇華させられるか」であると考えられます。
10月7日のセミナーでは、その価値観や考え方、仕事のやり方をどうやって幹部候補自身のものにしていくのか? 組織としていかに根付かせていくのか? その辺りについて具体的な事例と共にお話ししていく予定です。
※JMACでは、様々なモデルやフレームワークを使い、異文化ギャップの問題を解決します。
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