今回のテーマは「1個流し」です。TPS におけるモノの移動の基本で、正しく実践すると色々なメリットがあります。英語では「Ikko Nagashi」や「One Piece Flow」と呼ばれます。
1個流しでは、1サイクルで1個のワークを作業の対象とします。1サイクルとは、「ワークを取ってから、作業をして、次の工程に送る」までを指します。またこの時に、工程間には常に同じ数の仕掛があります。これを標準仕掛数と言い、通常は1個です。
1個流しには、以下のような利点があります。
(1)リードタイム短縮・仕掛の低減
余計なモノの滞留がないためにリードタイムは最短になり、仕掛も最小となります。
(2)標準作業による生産性向上
作業は毎回同じ手順のため、作業の習熟が早くなります。
(3)生産品質の安定
毎サイクルが繰り返しの作業となるため、標準作業からの逸脱の予防ができ、品質の安定につながります。
多くの企業で、「1個流しをするように」と指示が出ますが、 現実にはその通りにできません。なぜしょうか?
最も多く見かけるケースでは、 「作業をやる場所」と「仕掛を置く場所」が明確でないことが原因です。
1個流しでやるべきことは簡単なために「考え方が分かればできるはず」と思われているようです。しかしこの考え方を理解するのが実は難しいため、作業環境を整えて、場所を明確にし、「そこでしか作業ができない、そこにしか仕掛が置けない」工夫をすることが、1個流しを継続するためのポイントになります。
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