「引き取り生産」や「平準化」は、ムダを省いて効率良く自動車を作るための考え方です。カンバンはこれらを実践するために必要な道具です。
トヨタでは引き取り生産を行なうための道具として、カンバンを考案しました。カンバンという言葉は全世界に広まり、今では引き取り生産でない場合でもカンバンが使われています。
カンバンとは作業指示であり、「何を」、「どれだけ」用意しろという情報が入っています。用意とは「作る」または「運搬する」こと。「いつ」はカンバンが現れた時が「今でしょ」 となります。カンバンが単独で動くときは要求を伝えるために移動中で、既にものが用意された場合には、必ず一緒に動いて現品票の役割を果たします。
平準化により、1日に何を何台作るかは決まっており、基本的な生産体制は準備されています。したがって、全ての部品を前日に用意し、組立工程に並べておくことができれば、引き取り生産の必要はありません。しかし、これを実現するには、多くの部品在庫と、それを組立工程の横に並べておく膨大なスペースが必要になり、現実的ではありません。そこで、ロットを出来る限り小さくし、必要なものを必要な時に必要なだけ作るための道具として、カンバンが使われています。
平準化された計画が作成されたとしても、実際の生産の中で必ずしも予定通りいくとは限りません。カンバンは、実際に使用したことがトリガーとなって移動を始めるため、生産の実態に合わせて自動的に微調整がなされます。
現物とカンバンを一致させておけば、
① 余分な生産はできない
② 生産の優先順序がわかる
(カンバンの溜まったものが急ぐもの)
③ 簡単に現物の管理が可能
そして、管理・監督者は目で見ることで、現場を管理するために必要なこと(以下)を知ることができます。
・自工程の能力
・自工程の在庫状況
・後工程の作業の進捗状況
次回は、実際にカンバンがどう動くかのお話です。
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