当社のスタンダードチャックをご購入後、お客様にてジョーを設計する場合が多くあると思います。その場合、チャックを安全に使用するためにチャックのスペック計算が必要です。
今回は、概算で以下の項目を確認する方法をご紹介します。
①最大許容把握力
②最大回転数
③遠心力による把握力損失
概略計算には、当社HPの各チャック商品ページ内からダウンロードできる取扱説明書を使用します。
取説扱説明書内にある、把握部中心高さと静的把握力および入力の関係のページにあるグラフをご確認ください。
グラフを使用する前にあらかじめ、下記の4点をご確認ください。
①チャック型式
②特殊ジョーの質量モーメント
③チャック回転中心から特殊ジョーの重心までの距離
④把握部高さ
今回は、例として下記の図に記載した条件で仕様計算をします。
①チャック型式 ⇒ BB208
②特殊ジョーの質量モーメント ⇒ 192kg・mm(下記計算式より)
③チャック回転中心から特殊ジョーの重心までの距離 ⇒ 80 mm
④把握部高さ ⇒ 60 mm
把握中心高さ60mmと把握力限界線の交点が示す縦軸の値が許容最大把握力(60kN)となります。また、交点と入力値曲線の交点が静的把握力60kNを出力する為に必要な入力値(シリンダ推力)となります。
上記の右グラフで表記した静的把握力の線を左グラフまで伸ばし、横軸に算出しておいた特殊ジョーの質量モーメントの位置で線を引きます。
この2つの線の交点位置を通過する回転速度の直線が、最高回転速度(3700min-1)となります。また、最初に右グラフより伸ばした線はそのまま縦軸で把握力損失を表します。
静的把握力60kN、回転数3700min-1のときの把握力損失は40kNとなります。
注)最高回転数は、把握力損失が静的把握力の2/3になるときの回転数となっております。
切削抵抗などの加工条件は考慮されておりません。
上記グラフより得られる結果はこのようになります。
①最大静的把握力:60kN(入力23.5kN)
②最高回転速度:3700min-1
③遠心力による把握力損失:40kN
⇒ 動的把握力:60kN―40kN=20kN
ここで解説したものは、あくまでチャック本体の許容スペックです。
実際は、ジョーの強度や加工負荷を考慮した設計検討が必要になりますので、ご注意ください。
特殊ジョーの設計に関するご質問は、当社までお気軽にお問い合わせください。
最後に、チャックを使用するにあたり、『チャックグリース』という欠かせない潤滑材があります。ここで計算したような把握力は日々のメンテナンスがあって維持できるものとなります。
長く安全にご使用いただくために、チャックグリースの使用もお勧めいたします。
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